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一方その頃、キララとカツシロウは
飛脚屋にカンナ村への手紙を預けていた。
「では、よろしく頼む」
早亀と呼ばれる生物の甲羅に乗った少女に、カツシロウが丁寧にお辞儀をする。
「お預かりします」
少女はそう言うと、はいー!という掛け声とともに去っていった。
見送ったふたりは、サムライ探しを再開する。
いつも通り、サムライと思わしき人物に話しかけてみるが、
話を最後まで聞かず、軽くあしらわれてしまった。
それが三人目になり、話を断られた時……
「!?」
カツシロウが突然振り返る。
「カツシロウ様?」
「いや……誰かに見られているような気がしてな」
カツシロウの言葉を聞き、キララの表情が不安げに曇る。
「移動しよう」
本当に自分達は見られているのか真相をハッキリさせるべく、
カツシロウはキララに移動を促した。
不自然にならないよう虹雅峡の通りを歩き出す。
カツシロウは背後に意識を集中した。
――視線を感じる
つけてきている。そう確信した時、
「カンベエ様」
下の階層に続く階段の先にカンベエの姿を見つけ、
キララが声を発し、階段を下りていった。
カツシロウもその後を追う。