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『駄目!殺さないで――!!』
「…………」
(そういやぁ、
何でアイツは……あんなことを言ったんだ)
さらおうとしたのに
恐怖を与えたのに
なぜ助けた……?
「変な奴だ。敵を殺すなとは……」
しかしあの時、
あの言葉が無ければ、確実に死んでいただろう。
サムライの刀は……到底避けられなかった。
「俺の命は……こいつの持ち主に助けられたんだな」
髪飾りを自らの帯に付ける。
すると茶色の帯ということもあり、しっくり収まった。
「コレ、持ち主より似合うんじゃねーの?」
いっそ髪に付けてしまおうか。
そう思い、髪飾りを付けていた女を思い浮かべる。
(……駄目だなァ。髪に付けたら負けるか)
冗談だがそう思い、帯に落ち着かせる。
――名前、なんていったけ?
たしか高い位置に髪を結った小僧が、叫んでいたはず。
ああ、
「……なんだっけなぁ」
花に触れ、ポツリと呟いた。
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06.09.25 tokika/加筆修正:09.02.06