samurai7 | ナノ
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ユメカがやっと立ち上がり、よろよろとキララの家へ戻っていく。
その様子を密かに遠くの木陰から伺っていた者達が小さく、しかし興奮した黄色い声を発した。


「今の…!おさむれぇ様と一緒に此処さ来た娘っこだったよな」
「んだんだ!キララの服着てっけど間違いねぇ」
「あのおっかねそうなおさむれぇ様と…!」
「ふたりは絶対デキてんだ!」


とんでもない場面に居合わせてしまった興奮できゃあきゃあと騒ぐのは、若い村娘達だった。
恋愛事に興味津々の頃に刺激が強い場面を見せられ、自分のことのように頬を染める。


「あのおさむれぇ様も、あんな風に、く、口付けしてくれっだか」
「キャー!やっだぁ!!」


ひとりの発言に、みんなが腕を振ったり頭を振ったりと忙しい。
そんな娘達の興味の対象となっているのは、一番若いサムライ――カツシロウだった。
先程までリキチの家に居るカツシロウを見に行っていたのだが、窓を閉められてしまったため
キララにカツシロウのことを聞きに行こうということになり、此処まで来たのだった。


しかしもう、それどころではない。
娘達は明日出直してカツシロウのことを聞きに行こうと決め、
それぞれ冷めやらぬ興奮を胸に帰路に着くのだった。















キララの家へ戻ったユメカは、用意された布団の中に身を沈めていた。
しかし寝付けない。
疲れているというのに、一行に眠たくならないのだ。


「…………っ」


ぎゅっと首から提げた石を握る。
すると石が少し熱を放っているように感じた。疑問に思い、目の前に掲げてみる。
すると透明な石の中にある花の色が最初と比べて濃くなっているようだった。


嫌な予感がする。
これはキララの振り子と同じように、心の映し鏡にもなるのだろうか。
焦ったユメカは石を服の中へとしまいこんだ。


肌に触れる温かい石に、意識が向く。


――導きの巫女。
初めて聞いたカンナ村の過去。
とても信じられず、受け入れがたいことが多かったが
これからの未来を考えると、真剣に考えなければならない問題だった。


今確かに言えることは、
知っている未来を変えたいということ。


導きの巫女と言われるからには、皆を良い未来に導きたかった。


→第十六話へ
09.03.30 tokika

……なんだか暴走してるって?

かたじけない(むしろ申し訳ないです)


今回もご覧いただきありがとうございました。
正直今後、大暴走しそうです。
ご覚悟を…!(逃亡)


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