samurai7 | ナノ
15
101 / 177

ひとまず今日は夜も更けているため休息を取り、
明日から本格的に村を要塞化することになった。
サムライはリキチの家に居候することになり、女のユメカはキララの家へと向かう。


キララの家は村から少し離れた鎮守の森に位置していて、
キララが水分りの巫女と呼ばれているように、神聖な面持ちの社とひとつになった家だった。
家へ上がれば、セツという巫女の姿をした小柄なお婆さんが迎え入れてくれる。
キララとコマチがセツの前で居住まいを正した。ユメカもそれに習う。


「只今戻りました」
「うんうん、してサムライは?」
「七人連れてきたです!」


キララに続き、コマチが笑顔で身を乗り出した。
セツが満足そうに頷き、良いサムライかキララに問う。
するとキララは「私はそう思います」と澄んだ瞳で答えた。


「そうか、それは良かった。よいサムライも少なくなったからのう。
この婆様が若かった頃は、大勢おったもんじゃが……」


そう言いながらポッと少女のように頬を染めるセツに、キララとコマチが驚いたように見つめ合う。
思い出に浸っていたセツだったが「おお、そうじゃ、そちらの娘さんは?」とユメカへ向き直った。
セツの可愛い様子に気を取られていたユメカは慌ててお辞儀をする。


「ユメカといいます」
「こちらのユメカさんとは街で出会い、
おサムライ様を探すのを手伝っていただきました」


キララの説明に、相槌のように穏やかな笑みで頷くセツ。


「そうかい、それは、ありがとうございました」
「いえいえ!私の方がお世話になりっぱなしで…!」


深くお礼をされたユメカは、慌てて手を振る。
しかし何故かキララは一瞬躊躇うようにユメカを見て、意志を固めたようにセツを見つめた。


「婆様、実は……気になることが。
水晶が……ユメカさんに反応したんです」
「え!?」


ユメカは耳を疑った。そんなまさか。
驚きを隠せないユメカに、キララは申し訳ないように目を伏せる。


「すみませんユメカさん、ずっと秘密にしていましたが、
ユメカさんが倒れていた時に水晶が反応したんです」
「…………」


振り子が自分に反応した。
それは何を意味するのだろうか。


実際に反応する様子を見せた方が良いと判断したキララが振り子を垂らし、ユメカへ向き直った。
するとゆっくりと水晶の中に光の粒が舞っているかの様に輝く。
その様子を見たセツが一呼吸し、感慨深げに言葉を口にした。


「なんということ……導きの光じゃ」
「やはり、そうなのですね」


セツとキララのやり取りの意味が分からず、ユメカは不安げに視線を送る。
コマチも意味が分からないようで静かに次の言葉を待った。
キララがユメカを振り返る。


「ユメカさん、貴女は“導きの巫女”です」

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -