samurai7 | ナノ
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キララに案内され、ギサクというカンナ村の長老の家へ集まった。
既に少数ながら男の村人も集まっており、サムライが入ってきた途端びくびくと身を小さくする。
しかし、ギサクは臆することなく重たそうな瞼を上げ双眼で見据えた。


ギサクの一通りの説明で、野伏せりがカンナ村へ一度訪れ脅しを入れていたことが分かった。
それで村人はすっかり恐れを為してしまい、
サムライを雇うこと事態を間違っていたと反省し、畏縮してしまっていた。


土間に居たひとりの村人が悲鳴のような声を上げ、地面に額を擦りつけた。


「けえってくれー!!
おさむれぇ様雇ったのが野伏せりに知れたら、俺達皆殺しだー!」


マンゾウの必死な様子に、ゴロベエは呆れたように口を開く。


「それでは話が逆さまだ。
我等は、野伏せりからこの村を救いに来たのではないか」
「…………」


ゴロベエの言うことはもっともだ。村人達も言葉を返せなくなる。
しかし怖いものは怖い。サムライがいたら、自分達は野伏せりに殺されてしまう可能性の方が高くなるのだ。
野伏せりと血を流してまで戦うという意思は、そもそも農民には無い。


逃げの姿勢でいる村人。こんな状態で、雇われたサムライが動けるはずもない。
ギサクが情けない自分の村の様子に頭を抱え唸った時、
遠くから女の悲鳴と野太い男の声が響き渡り、近付いてきた。


「オラオラァ!米もありゃ、女も居るってな!
あんな隠し蔵、このキクチヨ様に隠し通せるとでも思ったか!」


皆が急いで外に出てみれば、暴れる女を左肩に担ぎ、
右手に米俵を三つも抱えているキクチヨが目に入った。
どうやらユメカに自信満々に言ったことを実行しに来たらしい。
騒ぎを聞きつけ、既に外には沢山の村人が集まっていた。


「シノ!!」


マンゾウが怯えきった様子で声を張り上げる。
キクチヨの肩で「放せ!」と暴れる短い髪の女は、マンゾウ唯一の愛娘だった。


キクチヨは村人に凄まじい迫力で吼えた。


「今更後戻りが出来ると思ったら大間違いだぜ。
野伏せりは一度背いた村を許しはしねぇ!
だがァ、拙者が来たからには大丈夫でござる!」


農民の甘えた考えに突き刺さる言葉。
キクチヨだからこそとれた行動であり、言葉であった。
ギサクがキクチヨの前にゆっくりと出る。
その様子にキクチヨが何か文句があるのか問えば、ギサクは一言「これでええ」と強く頷くように言った。


何はともあれ、村人とサムライが一つの場所へあつまった。
キクチヨの活躍に、カンベエもどこか温かい眼差しを向けているように思え
じっと見ていたユメカも心の中で拍手を送った。

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