*嶋滝烏野時代
*滝さん元ヤン設定(?)
*「嶋っち」「たっつぁん」呼びじゃない
*物凄く捏造
*あんまり嶋滝じゃない


!軽い暴力表現

以上が大丈夫な方はどうぞ









最近頭を金色に染めた彼は、人を殴ることが好きだと言った。





初めて見たのは部活が終わった帰り道、人の呻き声が聞こえて路地裏を覗いたとき。仰向けの男、うつ伏せの男、はたまた壁に寄りかかって今にも倒れそうな格好で座っている男が7、8人居て、その中央に1人、すらりと細い長身がそびえ立っていた。呆気にとられて目を見張っていたら、向こうがこちらに気付いて、何でもないように「よう」とはにかみながら挨拶を投げてきた。





「…なにしてんの」

「ん?んー…売られた喧嘩捌いてた」

「一人で?」

「そりゃあな。流石に味方は殴んねえ」

「……でもこれ相手何人居んの」

「9人。9対1で勝てるわけねーだろっつってたし」

「…勝っちゃったんだ?」

「見りゃわかんだろ?」





こいつら有り得ないぐらい弱かったしな、そう言ってもう一度はにかんだ。その笑顔は美しいと形容するのに相応しいくらい爽やかなのに、驚くほど背景と似合わない。血の匂いがする。





「えーっと…滝君」

「滝ノ上な。略してんなよ」

「祐輔君」

「いきなり名前とかねーな」

「じゃあ何て呼べばいいんだよ」

「素直に滝ノ上君でいいだろ、嶋田クン」

「それじゃ、滝ノ上君…喧嘩、強いんだね」

「そうかー?まあ好きなことなら強くもなるだろ」

「……………は?」

「俺人殴った時の感触好きなんだよ」



皮を破いて肉を裂いて、骨と骨をぶつける。頬骨を拳で片付ける。それが好きだと彼は言った。それもやっぱりあの笑顔で、だ。サディストなのかと聞くと、そんな訳ない、とまた爽やかに笑う。





「君は犯罪者にでもなる気かよ」

「は?なんでだよ」

「だってこいつら全員気絶してんじゃん。死んだらどーすんの」

「…嶋田クンって眼鏡なのに頭悪ぃんだな」

「はあ?」

「俺、売られた喧嘩しか買わねえし。それもちゃんと正当防衛になるやつ」

「…なんだそれ」

「趣味を全うするにゃあ、それぐらい考えてるっての」





そこまで馬鹿じゃねえんだわ、ケラケラと笑う彼は、まるで悪戯好きの子供の様な顔をしていて思わず可愛いと思ってしまった。自分よりも背が高くて、イケメンの部類に入る男を、だ。





「意味がわからん…」

「ん?どした?」

「いや、なんでもない。な、滝ノ上君の趣味のことって皆に言わない方がいい?」

「そうな。出来れば」

「オッケーオッケー。じゃあ黙ってる変わりに肉まん奢ってもらお」

「はあ!?なんでそうなるんだ!?」

「いいじゃん、そこの倒れてる人たちの財布から頂戴すりゃさ」

「そりゃ犯罪だろ」

「……境界線はどこだよ」








最初は爽やかすぎるだけの印象の彼は意外と思考が天然で、可愛いと思っても仕方がない、そう開き直ることにした。



ハイテンションシンドローム
(なんとなく毒されてる気がする)