流れ星に願い事をしなくなったのは、ちょうど十九歳の誕生日。あの日、流れ星に3回願い事を言おうと夜空を見上げるわたしに、彼は流れ星に願い事をするのは無理だと教えてくれた。
 彼のその言葉にわたしは少なからず驚いた。だって彼は、誰よりもそういうものを信じていそうなひとだったから。

「信じないよ、幸せとか願いとか、そういうのは自分の手で作って積み重ねていくから大切なものだろう」

そして今になって、彼の言葉がわたしを苦しめる。空にはたくさんの流れ星が弧を描いては消えていた。

ねぇ、あなたが選んだその子とわたしの何が違ったの。ねぇ、何がいけなかったの。ねぇ、その子と今も笑っているの?ねぇ、今、幸せですか?


 何度も何度もあたしに謝り、何度も何度も連絡をくれた。あなたは優しいひとだから、きっとあなたもひどく傷ついたのでしょう。
 でも、許してなんてあげない。忘れてなんてあげない。否、忘れられるはずなんかない。流れ星に忘れたいと願っても、叶わないと教えてくれたのはあなたでしょう。

 だからわたしは今日も流れ星に絶望する。
title by アナログレイディ








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