終わりのときが、近づいているのだなぁと思う。彼の態度は明らかにおかしい。
気付かれてないつもりかもしれないけど、あたしは知っている。彼の視線の先にはあの子がいることを。
彼が悪いのではない。彼女と付き合ってはいないのだから二股をかけているわけではないし、仕方のないことだ。彼は不器用なひとだから、ほかにすきなひとがいるのに付き合い続けるなんてことができないだけ。
さよなら、という言葉は、そんなに怖くない。あたしが怖いのは、その時に彼を傷つけてしまうこと。彼の中の最後のあたしが、優しくて可愛い彼女でいたいのだ。
だから、あたしは笑っていようと思う。最後の最後まで、知らないふりをしよう。最後まで泣かないでいよう。最後まで素直でいよう。
願わくば、あなたとあの子が幸せになれますように。
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