「あ」

放課後、先生に頼まれて教材を準備室に運んでる最中、噂の木の下で彼氏が告白されてるのを見た。
重たい荷物を一旦床に起き、窓の枠にもたれ掛かるようにして木の下を見つめる。

あの銀髪は明らかにあいつだ。


(…付き合ってからこれで何件目だ…?)


雅治はフッたのだろうか?
少し何かを言い、頭を下げるとその場を離れようとする。

しかし女の子は雅治の腕を掴み首を振る。


上から見てるといちゃついてるようにしか見えない。
そして、こんな距離でも聞こえる告白をした女の子もすごい。

すると雅治は顔を上げた。

そうしたら私と目が合うわけで。
驚いた顔をする彼。

告白されてたのを私が知らないとでも思ってたのだろうか?


私は荷物を持ち直しもう一度準備室を目指す。


別に告白くらいで怒ったりはしない。
告白した側も気持ちを伝えたいんだろうし。
しょうがないことなんだ、と理解してるつもりだ。


「みょうじっ」


後ろを振り返ると同時に捕まれた腕。
声の主はさっきまで告白されていた私の彼氏、仁王雅治。
それにしても、あそこからここまでをこの短い時間で…。
50m走を何秒で走るのか聞きたくなるほどだ。


「どうした?」


そう聞くと雅治は目をまた見開いた。


「いや、どうしたって…」
「告白の話?」
「まぁ…」

「…別に気にしてないよ」


そのまま教材室に入ろうとする。

「…ごめん…な…」

雅治はそう言って謝る。
だからしょうがないことだって言ってる。



しょうがないことだ、
しょうがないことなんだ…


「ちょっと…、ヤキモチやいた……」
「!!」
「…気にしてない、なんて嘘ついてた……。ほんと素直になれない、可愛くない彼女だね」


多分今ものすごく顔が赤いと思う。
そんな私を見てか、彼がふっと笑う。
思わず目を反らしたがもう一度目線を戻し呟く。


「…私…だけを見ててよ……?」

結構勇気がいるんだ、この言葉。
 

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