「……今日命日ッスよね…、」
「あぁ…」
「じゃあみょうじは?」
「あそこしかないだろう」
今日限りはみょうじが部活を休んでも誰も何も言わない。
毎日一生懸命に働くみょうじだからと言うのもあるだろうが、1番の理由は幸村君の彼女だったからと言うのが最もだろう。
「みょうじ先輩っていつ泣いてるんスかね…」
「確かに、あの日以来見たことないな…」
―――――――
「おかえり」
「あ、丸井。…ごめんね、部活遅れちゃって…」
「誰も気にしてないだろぃ」
「フフッ、ありがとう。…じゃあタオル用意してくる」
「おう」
――――――――
「みょうじは俺の事なんて早く忘れて…新しい大切な人を見つけるんだよ」
「…っ……、そんな事言わないでっ」
その時俺はたまたま病室の外にいて会話が聞こえてしまった。
俺には気付かず逆方向に走り出すみょうじ。
病室に入ると幸村君は俺を見て儚げに微笑んだ。
「ごめん…、わざとじゃなかった…」
「いいよ、…またみょうじを泣かせちゃった」
「…幸村君はほんとにそんなこと思ってんのかよ?」
「そんな事あるわけないだろう」
さっきの表情とは打って変わって厳しい、だけど泣きそうな表情になる。
「本当は離したくない。ずっと傍にいたい。俺以外の誰かに笑いかけてほしくない。好きっていってほしくないっ。………けど、そんなの俺のわがままじゃないか…」
「…………」
「みょうじはこれからも生きて行くんだ…。それを、…俺なんかの存在で邪魔できない」
「それは邪魔とは違う気がする…」
「……でも、そうすることしかできないんだ……」
幸村君はもう一度悲しげに微笑んだ。
―――――――
「ゲームアンドマッチ丸井!!6-2!!」
今日は校内ランキング戦。
このブロックで1番手強いのは柳ってとこか…。
「お疲れ。今日、調子いいじゃん」
「へへっ、まぁな」
慣れた手つきでスコアを記録していくみょうじ。
「…はいっ、じゃあ、次も頑張って」
「おう、応援シクヨロ」
「平等にね」
対戦表を見るとブロック1番の敵。
「柳かよぃ…」
―――――――
「ゲーム柳、2-0!!」
つたう汗をリストバンドで拭う。
サーブは俺から。
ボールを受け取り、ベースラインまで下がる。
ボールを2回ほどつき、柳のほうを見ると柳は違う方向を向いていた。
「……みょうじっ!!」
そして柳らしくない大きな声を発したと同時にみょうじは地面に倒れ込んだ。
――――――――
「………丸井…?」
「あ、起きた?」
「ごめん、……あたし倒れたよね?……迷惑かけたね」
「大丈夫だろぃ。しっかり休めよ…」
俺は近くにあった椅子に腰掛ける。
するとみょうじは被っていた布団を頭まで引っ張ると「今からあたしの独り言だから」と言った。
よく意味がわからずそのまま耳を傾ける。
「ほんとは…精市のこと考えてた。精市が生きてたら精市もランキング戦出てたのに、応援したのに……って。……精市は忘れろって言ったけど…そんなの無理だよ…。…どんどん好きになる」
ポツリと漏らしたその言葉が俺の悩内に繰り返される。
みょうじは幸村君のこと忘れないぜ?
これから、表向きなは彼氏とか夫とかそうゆう存在ができるかもしれない。
けど、
心の奥底には幸村君しかいない。
誰も入り込めない。
心臓がチクリと痛む。
「……無理だろぃ…、」
呟いた言葉は空気に消える。
その空気に響くのはみょうじの啜り泣く音。
*END*
「あぁ…」
「じゃあみょうじは?」
「あそこしかないだろう」
今日限りはみょうじが部活を休んでも誰も何も言わない。
毎日一生懸命に働くみょうじだからと言うのもあるだろうが、1番の理由は幸村君の彼女だったからと言うのが最もだろう。
「みょうじ先輩っていつ泣いてるんスかね…」
「確かに、あの日以来見たことないな…」
―――――――
「おかえり」
「あ、丸井。…ごめんね、部活遅れちゃって…」
「誰も気にしてないだろぃ」
「フフッ、ありがとう。…じゃあタオル用意してくる」
「おう」
――――――――
「みょうじは俺の事なんて早く忘れて…新しい大切な人を見つけるんだよ」
「…っ……、そんな事言わないでっ」
その時俺はたまたま病室の外にいて会話が聞こえてしまった。
俺には気付かず逆方向に走り出すみょうじ。
病室に入ると幸村君は俺を見て儚げに微笑んだ。
「ごめん…、わざとじゃなかった…」
「いいよ、…またみょうじを泣かせちゃった」
「…幸村君はほんとにそんなこと思ってんのかよ?」
「そんな事あるわけないだろう」
さっきの表情とは打って変わって厳しい、だけど泣きそうな表情になる。
「本当は離したくない。ずっと傍にいたい。俺以外の誰かに笑いかけてほしくない。好きっていってほしくないっ。………けど、そんなの俺のわがままじゃないか…」
「…………」
「みょうじはこれからも生きて行くんだ…。それを、…俺なんかの存在で邪魔できない」
「それは邪魔とは違う気がする…」
「……でも、そうすることしかできないんだ……」
幸村君はもう一度悲しげに微笑んだ。
―――――――
「ゲームアンドマッチ丸井!!6-2!!」
今日は校内ランキング戦。
このブロックで1番手強いのは柳ってとこか…。
「お疲れ。今日、調子いいじゃん」
「へへっ、まぁな」
慣れた手つきでスコアを記録していくみょうじ。
「…はいっ、じゃあ、次も頑張って」
「おう、応援シクヨロ」
「平等にね」
対戦表を見るとブロック1番の敵。
「柳かよぃ…」
―――――――
「ゲーム柳、2-0!!」
つたう汗をリストバンドで拭う。
サーブは俺から。
ボールを受け取り、ベースラインまで下がる。
ボールを2回ほどつき、柳のほうを見ると柳は違う方向を向いていた。
「……みょうじっ!!」
そして柳らしくない大きな声を発したと同時にみょうじは地面に倒れ込んだ。
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「………丸井…?」
「あ、起きた?」
「ごめん、……あたし倒れたよね?……迷惑かけたね」
「大丈夫だろぃ。しっかり休めよ…」
俺は近くにあった椅子に腰掛ける。
するとみょうじは被っていた布団を頭まで引っ張ると「今からあたしの独り言だから」と言った。
よく意味がわからずそのまま耳を傾ける。
「ほんとは…精市のこと考えてた。精市が生きてたら精市もランキング戦出てたのに、応援したのに……って。……精市は忘れろって言ったけど…そんなの無理だよ…。…どんどん好きになる」
ポツリと漏らしたその言葉が俺の悩内に繰り返される。
みょうじは幸村君のこと忘れないぜ?
これから、表向きなは彼氏とか夫とかそうゆう存在ができるかもしれない。
けど、
心の奥底には幸村君しかいない。
誰も入り込めない。
心臓がチクリと痛む。
「……無理だろぃ…、」
呟いた言葉は空気に消える。
その空気に響くのはみょうじの啜り泣く音。
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