君自身が、 
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「……好きだよ。仁王君……。……ばいばい……。」



確かに彼女はそう言って俺の前から去って言った。



「またね」でも「明日」でもなくてあいつの口から初めて聞く「ばいばい」という挨拶。






「仁王、聞いたかっ!」
「……何がじゃ。」
「なまえ休学届だしたんだって!まぁ、仁王は興味ないかもしれ…―――」






ガンッ







信じられない事実に勢いよく机から立ち上がる。




「それ本当か……?」
「…仁王?」
「……っ…、」





俺は教室から飛び出した。





「ちょ!仁王っ!どこ行くんだよぃ!?もう、終了式始まるぜ!」
「まー君はお腹が痛いので早退しますって言うといてくれっ!」
「いや、絶対嘘だろぃ!」


ブンちゃんの言葉を最後まで聞かず向かう先は屋上。
階段をいつもより数倍早く上っていく。



「……みょうじっ、」





ドアを開け、君の名前を叫んでみるがそこは風が靡いてるだけ。




「…どこにおるんじゃ……?」






「あたしはいっつもそこにいるけど仁王君がいるところからは調度死角だもんね。」







「……死角?」




いつも俺がいるところに行き、あたしを見渡す。




「…死角なんて……、」




ふっ、と風が吹いて上を見上げと段差になった向こうにこっちからは見えない場所があった。



一歩一歩足をそちらに運ぶ。






靡く茶色の髪。








「…みょうじ………、」
「……来ないって思ってたのに来ちゃった。」
「………。」
「仁王君こっちは来ないかと思ったのになぁ…。」





昨日、俺に「ばいばい」と言った声で俺に話し掛けるみょうじ。



このままじゃ、本当に終わってしまう気がする。











「…お前さんは、人に離れられるのが怖いんじゃろ?」
「え…?」
「…だったら、俺は絶対お前さんから離れん。芸能人じゃなかろうが芸能人だろうが、関係なか。

…俺は屋上にいるお前さんを好きになったんじゃから。」


「……っ…。」
「笑った顔とか、作ってきてくれた弁当とか、サボっとる時間とか。全部頭から離れん。
…もう、俺の前では悲しい顔してほしくない。ずっと笑っててほしい。……こう思うのって恋じゃろ?
俺もお前が好きなんじゃ。
…お前から離れんから、……離さんから、……俺の傍にいてくれんかの?」





今までの気持ちはこういうことだったのか。
だからこんなに気になってしょうがなかった。












「………あたしでいいの?」
「お前がいいんじゃ。」



「……離れないって本当?」
「離さん。」


「……っ、仁王君っ。」
「三ヶ月なんかじゃない、……これからも……ずっと一緒にいたい…。」




「…ありがとっ……。」







屋上にまたさっきの風とは違う風が靡いた。
それからまた少し時間が経ったお話。









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