俺はそんな、 
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「明日で最後か…。」


屋上の手摺りにもたれ掛かりそう呟いた。
明日で約束の三ヶ月。


仕事の方は映画主演のオファーをもらえたらしい。
嬉しい事だが、もう学校へはほとんど来れなくなるだろう。







「……何が明日で最後なんじゃ…?」

「………っ!」




後ろから聞こえた仁王君の声。



「…あ、あのクラスも明日で最後だなぁ、って……。」


まさか後ろに仁王君がいるとは思わなかった。


「…お前さんがこの間俺に聞いたこと……。」




「……芸能人のあたしをどう思う…?」




「あ……。」






「俺は気にしとらん。」
「…え……?」
「回りがどう思おうとお前さんはお前じゃろ?」



仁王君はこうゆう人だって分かってた。
仁王君は優しいんだ。






だから、














「あたし…この三ヶ月…、仕事休んでた……。」
「………。」
「…芸能人じゃない自分で仁王君といたかったから……。」
「……みょうじ…。」




「結構前、教室で同じクラスの女子達の話を仁王君が止めてくれたことがあった…。

…仁王君は何気ないつもりで言ったつもりかもしれないけど、あの時すごく救われた……。

あの時から仁王君のこと気になってた…。」




「………っ…、」




「…仁王君はあたしの事をちゃんと見てくれてるっ、そう分かってても……怖かった……。離れられるのが嫌なの……。」





これがあたしの本音だ。






「…だったら芸能界辞めろって話だけど、お仕事は楽しいし、みんなの期待に応えたいと思う……。けど、あたしは弱いから……、仁王君に告白だけして逃げるね。」















ほんとに変だと思う。
あたしはずるいんだな。
















「…好きだよ、仁王君。……ばいばい。」














これだけ言えれば…、

もう何も言うことはない。




もう屋上に来ることはないだろう。




.



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