「うっわ、なにこれ、爆笑寸前なんだけど」
「寸前なら笑っちゃえば?」
「ははっ…なんだろ、涙出てきた」


今私が手にしているのはテストの点数表。
まぁ、平均を越してるものがほとんどだが、

「数B赤点とか…」
「よかったね、うちの学校合計制で」
「…うん」

補修なんてなったら休みが潰れるだけじゃ済まない。
地獄のプリント祭りが待っている、らしい。

「そんなに落ち込むことはないよ。ほら、数U80点もあるじゃん」
「数U90点台の幸村君には言われたくないもん」
「俺って文系なのか理系なのかたまにわからなくなるね」
「どっちでもいいよ!!!」


これは勉強しなきゃいけないフラグだ。
きっとそうだ。
遊んでばかりの私に神が罰を与えたんだ。


「…幸村君」
「なに?」


幸村君は私の席の前の席に腰掛けた。
ちなみに今は放課後。
教室には誰もいない。
部活まではまだ少し時間があるらしい。

「…大学どこ行く?」
「このまま上に行くかなー…。どうして?なまえは行かないの?」
「迷ってる。立海大にはない学部に興味出てきて…だから、そのためにはまず偏差値上げなきゃ」
「…じゃあ大学違っちゃうかもしれないんだ」


ふ、と顔を上げて幸村君を見ると気のせいか幸村君は若干悲しそうな顔をしたように見えた。


「いや、別に決まったわけじゃなくてね。ただ、ちょっと気になった、っていうか」
「興味もてたなら自分に従うべきだよ。なまえが興味持つって珍しいじゃん」
「そんなことないよ」

「俺、なまえのこと応援したいし」


幸村君はそう言って口角を上げた。

「幸村君と離れるの悲しい…」
「そんなん俺だってそうだけど、会えなくなるわけじゃないじゃん。車の免許取って毎日迎えに行ってあげようか?」
「何それ、らしくない」
「講義の休みが被る日は必ず作ろうね」
「うん、大学生になったらいろんなとこも行ってみよ」


未来の話をするのがとても楽しい。
これからも幸村君と一緒にいていい、って言ってくれてるみたいで。

「じゃあまずは大学生になれるように勉強しなきゃ」
「うん、頑張れ。俺、部活行ってくるね」
「いってらっしゃい。部活終わる頃になったらテニスコート行く」
「待ってる」


テニスバックを持って教室を出た幸村君を見送りながら少しだけ胸が痛んだ。



未来、
私達はどうなっていくのかな?

けど…
これからもこの幸せが続くといい。
いつまでも未来の話ができる関係でいたい。



私は一つ息を吐いて窓の外を見た。
 

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