金木犀の香る夜 | ナノ
 7*

ガチャっと乱暴に家の鍵を開けてなかに入り込む。カバンを放り投げてリビングに入った瞬間、俺はそのまま静止してしまった。

「あれー?晴じゃねえか、久々に見たな」

イヤらしい笑みを浮かべながら汚らわしい視線を送ってくる男は全部で四人。そのうちの一人が固まったままの俺の腕を捕らえた途端弾かれたように暴れだす。

「、やめっ、離せよっ!!」

「たく、面倒くせえな。暴れんじゃねえよくそガキ」

冷め切った声と共に手に力が入りそのまま乱暴に壁に叩きつけられた。ゴッと鈍い音と同時に頭を強打し一瞬力が抜ける。それを狙ったかのように男は軽々と俺の体を床に組み敷いた。

「っ、離せっ!!!」

「誰に口聞いてんだコラ」

「少し会わないだけですぐこれか。躾直しだな」

群がり、抵抗する俺を押さえつけながら、着ていた服を脱がしていく。三人係で押さえつけられれば成長途中の男子高校生なんて簡単に押さえられてしまうわけで、それでも何度も抵抗をした。それが、逆効果なんて解っていたけれど。

「嫌だっ、やめろ!」

「あーもうウルせえよ!」

ガッと手加減なく頬を殴られる。痛みに呻いた俺を嘲笑うかのように男たちは俺の体を弄びはじめた。一応制服ということは考慮してくれたのだろう。私服の時は切られていたが今回は普通に脱がしてくれた。

胸元に舌が這い、悪寒が走る。ダメだ、この行為はただ苦痛を与えるだけの行為であって楽しめるものじゃない。それでもとっくの昔に作り替えられた体は刺激を快感として受け止めるのだ。

「いや、や、んっ、ふぅ....ぁ、」

突起を噛まれては宥めるように舌先で舐められ、他の男には頭上からキスの雨が降る。足元にいる男は下着の上から柔らかく晴自身を揉みこんでくるのだ。

「相変わらずスゲエ感度」

「でもほら、躾し直さないといけないしな」

「ぃあっ!!」

ガブッと首筋を、乳首を、内股を同時に噛まれビクンと体が跳ねた。柔らかい皮膚に食い込む歯に流石に涙が出てくる。

痛い、痛い。それでも多勢に無勢なこの状況では誰も助けてくれはしないと知っている。いつだって、苦しいのは俺でこいつらは好き勝手やっては放置なのだ。

「和さん、もうそっち行っちゃうのぉ〜?」

不意に聞こえた声に弾かれたようにソファーに視線を向ければ殆ど全裸状態の女が妖艶に笑っていた。その女は今朝ソファーに眠っていた女で紛れもなく俺の母親だった。…母親なんて、認めないけれど。

「なんだ、まだ足りねえのか」

押し付けられ散々弄ばれる俺を面白そうに反対側のソファーから見ていた男が返事をした。この男は嫌いだ。そもそもこの女に関わる人間で好きになれるやつなんていない。

「足りないのは貴方でしょう?」

言いながら女は立ち上がると押さえられたまま半裸にされた俺を見て笑った。

「晴、あんたやっぱり淫乱ねえ。私の血がしっかり流れてるじゃない。男で感じるなんてあんた私以上の変態よ」

蔑むような視線とともに繰り出された言葉は幾度となく聞いてきた言葉だ。何度も言われてきた。こうして組み敷かれる度に何度も何度も。

「....黙れ」

呟かれた言葉は自分でも思った以上に小さかった。喉元に噛み付かれているせいだろうか。痛みに声が出ないのだろう。

「情けないわね。素質あるんだからもっと活かしなさいよ、本当に使えない子」

冷たい視線を投げつけた女はそのまま和と呼ばれた男の元へ向かう。それを視界に収めながら俺は諦めたように力を抜いた。

「…やっと諦めたか」

内股をかんでいた男がようやく顔を上げそれと同時にほかの男たちも顔をあげた。それでも俺を押さえつける力は少しも弱まっていない。

微かにした血臭に眉をひそめる。もしかしなくてもどこかから血が出ているのだろう。近くからするから首だろうか。

「まっ、躾は必要だからな。慣らさねえぞ」

「は?ふざけ、」

ガっと鈍い音と共に無防備な腹に痛みが走る。ただでさえ怪我をしている腹だ、このままではおそらく傷口が開いてしまう。

「うるせえよお前に拒否権なんざねえよ!」

何度も、俺が負傷しているのを分かってて腹を蹴るから質が悪い。せっかく縫ってもらったそこはあっさりと開き血が滲み出す。

「おら、こっちもいくぞ」

グイッと足を広げられ全てが見える状態に羞恥がわく。けれどそんなことよりも、指一本触れてすらいないそこに男の一物が入るわけもない。流血は確実だ。

「や、だ……ね、嘘」

「嘘じゃねえよ。せいぜい、いい声で泣け」

「っあ、あああぁぁぁああ!!!!」

絶叫と共に訪れた激痛に暴れ回るが、男たちはそれをあっさりと押さえ込む。

「きっつ....緩めろよ」

「や、いたっ、無理、むりぃ!」

泣き叫ぶ俺を嘲笑うように男は何度も腰を打ち付ける。裂けているのであろうそこはきっと血塗れのはずだ。

痛みのあまり逃げようと腰を引けばその分勢いよく奥まで突かれ、泣き叫ぶ。手のひらに爪を立てて痛みを誤魔化したりそんな小細工をするけれど、如何せんそんな簡単なものじゃない。傷口を広げるように腰を動かす男を殺したくて仕方がなかった。

「ぁ、い、ああぁ、」

「はっ、痛そう」

俺を押さえている男の一人が嘲笑うようにつぶやき、そのまま俺の口を塞ぐ。呼吸が出来なくなることなんてお構いなしに好き勝手する男たちに、意識が遠のく。

「寝たら腹抉るよ?」

ぞっとするほど冷たい声に慌てて意識を繋ぎ痛みに耐える。頬を伝う涙が止まることはない。

「ん、中に出すから」

「っ、ゃ、あ、ダメっ」

ただでさえ傷ついたそこは血まみれなのに中に出されたらたまったものじゃない。

「うるせえっ」

再び頬を殴られ身体が強ばる。…これはダメかもしれない。久しぶりにここまで手酷くやられたが、抵抗なんて出来るわけがない。

グッと早くなる動きに諦め、痛みから気をそらすために唇を噛み締める。血の味がするとか知ったこっちゃない。

「っ」

小さく埋めいた声と共に腹に広がる熱に、やっと終わったと力を抜く。

「は、なーに安心してんだ。これからだろ」

ずるっと抜かれたと思った途端すぐに新しい熱が侵入する。

「っぅ、ぁ」

乱暴なそれにうめき声が漏れるが男たちは知ったことではないのかそのまま律動をはじめる。

…今日も簡単には終わらせてくれないか。分かってはいたけどそれでも避けたい気持ちはあったのだ。それでも、揺すられる度走る痛みから逃げることも出来ずに心のうちで嘲笑う。

所詮はこの程度だ。何も出来ない自分が哀れで情けなくて笑いが漏れる。そんな自分を蔑みながら俺は静かに目を閉じた。

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