長編2 | ナノ
男心と秋の空
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「竜太朗じゃん、どしたの?」



シャーペンをクルクル回して問題とにらめっこしていると怖い顔をした竜太朗が教室の入り口で突っ立っていた。私の向かいに座り一緒に問題を覗き込んでいた正も何事かと扉の方に顔を向ける。




「……竜太朗?」



「どーしよ、名前、俺っ期末テスト忘れてた!!」


「はぁ?」




近くのイスを持って私の隣まで来た竜太朗は正を睨んだあと教科書を覗き込む。「教えろ」と人にものを頼んでいるとは思えない程偉そうな竜太朗の口調に呆れながらも、テスト期間中に勉強を教えるのは珍しい事ではないのでどこが分からないのかを聞く。




「分からない所すら分からない!」



「威張って言うな!!」



「ぶっ」




急に笑い出した正に竜太朗の肩を叩く手はそのままで視線を向けた。私たちを見てニヤニヤと素敵とは言い難い笑顔を浮かべる正に嫌な予感しかしないのだけど。



「仲良いねー付き合ってんの?お二人さん」



「違うし」



私よりも先に否定の言葉を発した竜太朗を見ても彼は正から視線を逸らすことなく、て言うか竜太朗ここに来た時から印象悪すぎる。正にケンカ売ってるようにしか見えないのだけど。




「てゆーか、アンタこそ彼女いるんだろ?名前とこんな事してないでさっさと帰ったら?」



「ちょっと竜太朗どしたのー?あ、テストの出来が悪かったから機嫌悪いんでしょ?」



「俺はホントの事言っただけだし。彼女いるくせに名前と仲良くしてんじゃねー」



なるべく場の雰囲気を壊さないよう明るい口調でさらりと流してあげようとしたというのに奴は私の気遣いを見事に踏みにじりやがった。この嫌な空気をどうしようかと正に視線を向ければシャーペンを唇に当てたまま竜太朗を見て固まってしまっていた。どうしてこんなにケンカ腰なのだろうか。普段の温厚な(と言うかボケーっとしている)竜太朗とは大違い。別に怒ったところを見たことがないわけではない。昔から一緒にいるからキレたところも殴り合いのケンカだって何度も見てきた。私自身竜太朗とのケンカは数え切れないくらい。でも、だから分かる。竜太朗は小さな事は気にしない、所謂適当人間だ。そんな竜太朗がどうして正に敵意剥き出しでつっかかっているのだろうか。




「なる程ね、じゃ俺帰るわ!」



「あ、うん。また明日」



ひとり納得した正は筆記具とノートを鞄に直し教室から出て行ってしまった。嫌な沈黙が竜太朗と私の間に生まれる。



「感じ悪すぎ!どしたの、竜太朗」



「別に!アイツが彼女いるくせに名前と…」



「いやいや、正とは友達だから」




竜太朗が何度か口に出した、正の彼女。友達だけど女である私と仲良くすると、正の彼女が悲しむから?
どうして竜太朗がそんな事気にするのだ。





















(……意味分かんない)










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