5000hit企画 | ナノ

告白をした
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入学式で一目惚れして一年片思いした。まぁ、今も目下片思い中なんだけどな。第二学年へと進級した俺に大きな転機がやってきた。苗字さんと同じクラス!!昇降口前の掲示板に貼ってあるクラス表のB組の欄に俺と彼女の名前を見つけ人目もはばからず思わずガッツ石松ポーズ。やった!!去年はというと、入学式で一目惚れしたはいいものの俺と苗字さんのクラスは一番離れていて、廊下ですれ違うのも殆どないくらい。だから良く彼女のクラスに遊びに行っては友達と話してたっけな。だから俺は無駄に顔が広い。でもこれからはそんな事しなくても自分の教室に彼女が居るんだよなー。なんという幸せ。




「あ、あった!B組だよ!」


「ほんとだ!また同じクラス!」



妄想の世界に入りかけていた俺を現実に引き戻した声、隣を見れば大好きな横顔があった。お、苗字さんだ。今日も可愛いよなー。しかし一つ気に入らないことがあった。宿敵佐藤!!皆にはケンケンという愛称で親しまれている彼は苗字さんとは同中らしく仲良しだ。ま、俺が脳内で勝手に宿敵とか言ってるだけで本人とは全く接点はないのだけど。俺もあんな風に苗字さんと仲良くなりてー。




「あ、ほら中山の名前もあるよ」



「「え!?」」




ケンケンの口から突然俺の名前が出て吃驚して出した声は隣に居る苗字さんと被った。お互い目を合わせ、暫くフリーズ。苗字さんは大きな目を更に見開いて俺を見つめていた。すると今度は顔を真っ赤に染めて「ケンケンのぶぁかぁ!!」と叫びながら走って行ってしまった。はぁ!?、何!?意味分かんないけど可愛かったからまあいいか。





「あ、すんません今の忘れて?じゃ!」



「ちょっ、えー!?」



残されたケンケンは腑に落ちない言葉を残し校舎へと入って行った。凄く気になるんだが。後で苗字さんに聞いてみようか。早速話しかける口実が出来た俺は軽い足取りで校舎へと入った。














「あ、苗字さん」



「!?!?ぷぁいっ」




ぷっ。ぷぁい、だって。可愛いすぎだし。始業式が終わり皆ゾロゾロと教室に戻っている時、人混みの中苗字さんの姿を見つけ早速話しかければそんな返事が返ってきて、我慢出来ずに軽く吹き出した。見る見るうちに苗字さんの顔、否、全身が赤くなってゆく。オマケに泣きそうなくらい瞳が潤んでいる。え、ちょっとこんな所で泣くのかよ!?焦っていた俺を置いて苗字さんは教室とは反対の方向へと走り出した。無意識に俺もその後を追う。人の流れに逆らうのは意外と難しく、小柄な苗字さんはスイスイと人の間を縫って行った。やっと人混みを抜けた時は苗字さんを見失っていて、その内見つかるだろうと宛もなく適当に廊下を歩いた。




「……あ、いた」



「!!」



案外早く見つかった苗字さんは階段に座り込んでいて、俺を見ると勢い良く俯いた。そんな避けられるとショックなんですけどー。




「苗字さんさー、俺のこと嫌い?」



俯いたまま頭を横にブンブン振る。良かった、嫌われてはないみたい。




「ならさ、何で避けるんだよ」



「ぁ、えと、避けてはなくて……えっと、」



「目も見てくれねーし、」



「あ、の……」



「逸らすなよ、ちゃんと見て」




何時までたっても俯いたままで俺を見ようとしない苗字さんに苛立ちを感じついキツい言い方になってしまった。軽く肩をビクつかせ恐る恐るといった感じで俺を見る彼女と目が合った瞬間、自分でも言うつもりじゃなかった気持ちを口にしていた。





「俺、苗字さんが好きだよ」



「えぇっ!?っ痛!!」



「え!?どうした!?」




大声を張り上げながら立ち上がった苗字さんは顔を歪め直ぐに座り込んでしまった。足首を押さえながら我慢している。



「もしかして、捻った?」



「うん。走ってたら転けて…」



俺の所為だよな、俺が追いかけたりなんかしたから。





「あー、悪かった、保健室行こ」



「中山くんが謝ることじゃないから!大丈夫!」




上手く歩けない苗字さんに肩を貸してゆっくり保健室へと歩いた。貸してる左肩に神経が集中し過ぎて痛いくらいだ。
てゆーか、俺、告白したんだけど。あれ、なかったことになったりしないよな?





「あの、逃げるのも、目を見れないのも、全部嫌いだからじゃないから」



「あー、うん?」



「その逆、だから、保健室はひとりで行けますまた後で!!」







どうやら俺の悩みは杞憂で終わりそうで、なかったことにはならないようだ。


喜ぶのは後にして、まずは走って捻挫が悪化したであろう未来の恋人を追いかけることにしよう。








*あとがき

蜜様、如何だったでしょうか?恐らくご希望には沿えておりませんすみません。
言い訳としては初リクエスト作品、そして初中山さん夢!!
喋り方などかなり苦戦いたしました(笑)
企画一発目からこんなんですが愛情だけは無駄に詰まってますので。














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