僕たち男の子?
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「きゃーっ」
「どしたの竜太朗!?」
「助けて名前!!やつが!!襲われる!!」
僕は雑誌を読んでいて、愛しい彼女はキッチンで僕の大好きなカレーを作っていた夕飯時、やつは現れた。
黒光りするそのボディは鋼のようで、頭から飛び出た2本のセンサーからはきっと何かが飛び出すに違いない。更に普段は畳んでいる羽を広げることにより、空中攻撃まで仕掛けてくる強者だ。
「なぁんだ。ゴ○ブ○か」
「その名前を言わないで!!」
名前はエプロンで濡れた手を拭きながら部屋の隅に避難していた僕の傍まで来て、抱きしめるように持っていた、先程まで読んでいた雑誌を取り上げた。あぁ、それ僕の雑誌。しかも今日買ったばかりで最後まで読んでいないのに。
武器なら他のモノにして!!そう叫ぶ前にバチンと何の躊躇いもなく彼女はやつを滅した。
「はい、雑誌。ご飯もうすぐ出来るからね。」
「あ、ありがとー………」
受け取った雑誌を直ぐに屑籠に放り込み、逞しい彼女の背中をなんとも言い難い心情で見つめていた。
カレーをたらふく食べ、やつのことも忘れ上機嫌な僕。そんなとき本日2度目の事件は起きた。
「きゃあ!?雷!?」
「あ、ほんとだー」
ピカっと外が光り、遅れてゴロゴロと音が響く。少し離れて座っていた彼女は僕の隣に来てピッタリとくっ付いた。可愛いなーもう。嬉しいことに腕に胸が当たっちゃってるし。
そう、やつをなんの迷いもなく処分できる逞しい彼女にも苦手なものがあった。
「やぁっ…りゅーたろう、」
「大丈夫だよ」
何処かに落ちたような凄まじい音が鳴った瞬間、ぎゅうっと僕の腕に捕まり肩に顔を埋める可愛い名前。幸せだなー。こんなとき、僕は男であることを実感できる。普段は名前の方が男前だから。
「一晩中ずっとぎゅってしてて?」
「(可愛いなぁ)うん。ずっとぎゅってしてる。」
僕の彼女は間違いなく女の子です。
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