これはフィクションです
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これはフィクションです。
僕は今心配停止を初めて味わった気分。実際は止まってなんかいないんだけどそのくらい吃驚仰天したってこと。だって目を開けたら一番に僕の寝顔が飛び込んでくるんだもん。最初知らない男がいる!って思っちゃったよ。自分の顔って他人から見ると意外と違うんだなー。昨夜、名前とそれはそれは熱い夜を過ごし、何も身にまとっていない状態の僕。やっぱ成人男性の標準より細いな。白いし、如何にも虚弱体質ってかんじ。え、てか、僕がここに居るってことは僕は誰なんだろう。自分の手を目の前にかざした。綺麗で華奢な指、薬指には僕が彼女にあげたはずの指輪が飾られていた。え、もしかして僕、名前になっちゃった?恐る恐る下を見るとありましたふたつの膨らみが。そしてありませんでしたアレが。(下ネタごめんなさい)うわー女の子の体が自分の体なんてなんか不思議。柔らかそうだし。しかし胸元には昨夜僕が付けた鬱血痕が、それってなんか微妙。自分の体に自分のキスマークって。それに腰も痛い。う、激しくし過ぎたかも昨夜の僕のバカ。名前はいつも朝、こんな気怠さを味わっているのかな。男の僕としてはかなりスッキリなんだけど、女の子は大変だ。というか、僕が名前になってるということは、名前は僕になってるの?わぁ、大変だ。名前が起きたらきっとパニック起こしちゃう。その前になんとかしないと。僕としてはもう少し名前の体をイロイロと堪能したいんだけどね。
「ぅ……ん」
もぞもぞと僕の体をした名前が動いて名前の体をした僕に抱きついてきた。堅い!!そして重い!!うわーん、のし掛からないでよ!!
「りゅ、たろ……」
「わ、僕が僕を呼んだ」
嬉しいような気持ち悪いような、とにかく重いから早く退いてくれ。渾身の力を振り絞り僕の上に乗っている名前をベッドへ仰向けに寝かせた。その衝撃により目が覚めたのか、ゴシゴシと目を擦りながら片目を開ける。あ、目が合った。
「………きゃっ!?」
「あぶなっ、わぁ!」
少しの間を置いてから飛び起き僕と距離を開けた際にベッドから落ち、それを助けようとした僕までもが道連れに。男の体だったら名前くらい引っ張ること簡単なのに。
「いたぁーい、重ーい」
聞こえた声は何故か高くて、あれ、名前だ。名前が名前の体に戻って、僕の下にいる。胸もある。僕はない。
「どこ触ってんの!!」
「あ、つい…」
「ってゆうか、寝ぼけてたのかなあたし。さっき幻覚が見えた…」
あ、もしかしてさっきの衝撃で戻っちゃったとか?あーあ、残念。もっと名前の体体験したかったなぁー。
「それより、いい加減退いて!」
ペチペチ僕の腕を叩いている名前は裸。僕も裸。昨夜はそれはもう激しい夜を過ごして……。
「エッチしたらまた名前になれるかも!!」
「は!?ちょ、あっ…ばか!」
「昨夜以上に激しくしないとね!直ぐオチちゃダメだよ?」
「いみ、わかんなっ、ぁ!」
その日は名前の意識が飛ぶまで愛し合ったけど結局名前にはなれなかった。一体あの現象はなんだったのか、未だに謎である。
でも僕はまだ諦めてないけどね。
「名前ー」
「今日はもう無理!!いや!!」
「僕の夢の為に!いただきまーす」
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