また会う日まで

季節は時ともに変化してゆく。

春から夏

夏から秋

秋から冬

そしてまた冬から春へと何度も何度も同じように表情を変えて巡ってくる。

そんな今、

あの寒さは何処へ行ってしまったんだろうか。

庭に積っていたはずの雪はいつの間にか姿を消し、代わりに小さな花の芽が地面から顔を出し、桜の木には桜が美しく咲き誇っていた。

冬から春へと季節が移り変わったのだ。

そう、

ーーーーーーーーーー出会いと別れの季節に。−−−−−−−−−−−−−−










「もうすっかり、春だね〜」

仙蔵「あぁ、そうだな。」

「なんか早いよね〜ついこないだ六年生になったと思ったらもうそれから一年経つんだよ??」

仙蔵「そうだな、時の流れとは、早いものだ。」

「私は早すぎると思いまーす(クスッ」

仙蔵「あぁ、そうかもしれないな(クスッ」

私と仙蔵は縁側に座り外を見ながら他愛のない話をしていた。

そんな中、春風が吹き風と共に桜の香りが辺り一面に広がり、そして、私の頬を優しく撫でた。

「わぁ、桜のいい匂い〜!」

仙蔵「そうだな。」

「それに毎年毎年庭の桜はたくさん、綺麗に咲くよね」

仙蔵「あぁ、まぁ、桜の散った後は庭が花びらでたくさんになるがな(クスッ」

「そうだね(クスッ
各学年ごとに決められたエリアに散ってる花びらを集めてたよね。」

仙蔵「もう、毎年恒例イベントみたいなものだしな(クスッ」

「うん(クスッ
あ、でも、集めたのはいいけど小平太が集めた花びらの山の中に突っ込んで、それが合図のようにみんなで遊び始めちゃってるよね、いつも(クスッ」

仙蔵「あぁ、小平太が花びらの山の中に突っ込んだのを合図に六年全員で遊び始める。これはある意味私たち六年だけの恒例行事だな(ふっ」

「なんか私たちは他の学年より恒例行事が多いよね、でも、それがすごく楽しい」

仙蔵「あぁ」

「、、、、、、でも、それももうできないんだよね、、、、。」

仙蔵「、、、、、、。」

「、、、、、卒業。」

私たちは明日に卒業試験を控えている。

そして、卒業試験に合格すればこの”忍術学園”を卒業するのだ。

卒業試験の内容は六年全員で協力して敵の城から密書を奪いに行く、というものだった。

先日、六年全員で話し合い三つの班に分かれて行動することになった。

一つ目の班は敵をおびき寄せるためのおとり役

二つ目の班は敵をおびき寄せている間に城に侵入し、密書を奪う役

そして三つ目の班が見張りもしもの場合その城に仕える忍者の気をこちらに向かせておく役。

そのメンバー割が

一つ目の班のメンバーが文次郎、長次、小平太

二つ目の班のメンバーが伊作、留三郎

そして三つ目の班は私と仙蔵の二人だ。

「いよいよ、明日だね卒業試験、、、、、、。」

仙蔵「あぁ」

「私たちは敵の城の忍者の相手役だよね、私大丈夫かな失敗しちゃって私だけ卒業できなかったりして。あはは」

仙蔵「大丈夫だろう、名前は十分強い、それにこの私がいるんだぞ?
私たち二人なら完璧であろう。」

「、、(クスッ
そうだね。あ、そういや仙蔵は卒業したらどうするの??」

仙蔵「私か、私は名を変え私のことを知らないものたちの間に入る」

「へぇ、確かに自分の事を知られていなければその場その場の予想を立てるのは難しいからね」

仙蔵「そーいう、名前はどうするんだ」

「私か、、、城に付くか迷うけどとりあえずしばらくはフリーの忍者やるつもり」

仙蔵「そうか」

「(あぁ、、、こんな他愛のない会話も卒業したらできなくなるんだ、、、、、。)」

その時、心のどこかに隠れていた寂しさが溢れ出てくるのを感じたーー。



そして卒業試験当日の夜を迎えた。

卒業試験は夜に行われることになっていた。

夕方、忍術学園を出発し、夜になる前には敵城付近に到着した。

今は、作戦通り三つの班に分かれ互いの役割についている。

私たちは外で見張りをしていた。

文次郎、長次、小平太が敵の気を引き、伊作と留三郎が密書を奪い取りそれを持ち忍術学園に向かった、そこまでは順調だったのだが、、、、、。

『貴様ら、何処の城のものだ』

その声を合図としたかのよう私たちのに周りに敵城の忍者たちがあらわれた。

「仙蔵、私たちにお客さんのようだよ」

仙蔵「みたいだな」

そういうと私と仙蔵は刀を構えた。

『答えろ、お前らは何処の城のものだ』

仙蔵「敵に我々の事を教えるはずがないだろう」

『ちっ、なら始末するのみだ』

「仙蔵」

仙蔵「名前」

私と仙蔵は互いの名前を呼び互いに背を向け

「「背中は任せたよ/ぞ」」

この言葉を聞いた時不意にこんなことを思ってしまった。

この言葉を貴方に言えるのも貴方の声で聞けるのもこれが最後かもしれない、もう聞けないかもしれな。

仙蔵「手加減はしないぞ」

あぁ、それに、もし、卒業して敵同士で再会したら「背中は任せた」から「手加減はしない」にきっと変わってしまうのだろう。

そう思うと、抑えていたはずの寂しさが溢れ出てしまう、しかし、今は卒業試験の真っ最中。

私は再び寂しさを抑え、試験のことだけに集中することにした。

「仙蔵」

仙蔵「頷き)」

私たちは刀を再び敵城の忍者たちの中に突っ込んでいった。−−









空は、雲ひとつない青空だった。

太陽がいつもの私たちを見守ってくれている。

あの後、私たち七人は、無事卒業試験を合格することができた。

そして、今日、六年間通った”忍術学園”を卒業したのだ。

「卒業、しちゃったね。」

仙蔵「あぁ、、、そうだな。」

「仙蔵は名を変えて仙蔵のことを知らないものたちの間に入る、だったよね」

仙蔵「あぁ、名前はフリーの忍者だろう?」

「うん、、、お互い、会えなくなるね」

仙蔵「まぁ、な。だが、またいつか会えるだろう」

「、、、、、そうだね。仙蔵と敵同士で再会しないといいな」

仙蔵「あぁ、私もそう思う」

その時、風が吹き、桜の花びらが空中に舞い上がった。その光景はまるで、桜の雨のようだった。

「、、、!仙蔵、見て」

仙蔵「ん?あっ、、、。」

「凄く、綺麗。」

私は、この光景に似た光景を見たことがあった。

入学して仙蔵と初めて出会ったあの頃の景色に。ーーー

「ねぇ、仙蔵、
覚えてる?この景色に似た景色」

仙蔵「あぁ、覚えている。入学して私と名前が初めてであったあの時の光景そっくりだ。」

「凄く、懐かしい」

今まで抑えていた寂しさが溢れでた。

一粒の涙が私の頬を伝った。

仙蔵「!!名前、、、」

「あれ、なんでだろう、涙が止まらない、、、。」

涙が溢れ出た原因も止まらない原因も私は分かっていた。

きっといつ仙蔵に再び会えるかという寂しさと、、、、、。

もしも、好きな人と敵同士で再会してしまったらという、不安感だ。

私は、最近仙蔵の事が「好き」という気持ちに気付いた。

いつから、仙蔵の事が気になったのか、いつから仙蔵の事が好きなのだろうかと。

この気持ちに気付くのが遅かっただけで、、、、きっと、いや、絶対、仙蔵と初めて出会ったあの頃から気になり始めどんどん好きになっていったのだろう。

だから、よけい寂しさが強いのだと。だから、涙が溢れ出た、涙が止まらないのだ、と。

仙蔵「、、、、、、(ぎゅ」

「せん、ぞ、、、。」

仙蔵「黙ってろ(ぎゅ」

突然、仙蔵は黙って私を抱きしめた。

でも、それは、とても温かくて、そして凄く落ち着いて、、。


どのくらい経ったのだろうか

仙蔵「どうだ?落ち着いたか??」

仙蔵は私が泣き止むまで私を抱きしめてくれていた。

「うん、もう、大丈夫。ありがとう仙蔵」

仙蔵「あぁ」

「ごめんね、長い時間。これじゃ、仙蔵が目的地に着くの遅くなっちゃうよね」

そう言い、私は仙蔵から離れた。

仙蔵「、、、、、なぁ、名前。」

「何?仙蔵?」

仙蔵「いや、なんでもない、、、。」

「そっ、か、、、、。」

仙蔵「、、、、、、、。」

「そろそろ、私、行くね。」

仙蔵「あぁ、でわ、私も行くな。」

「うん」

私の仙蔵への「好き」だという気持はこれから先も変わらない。

でも、、、

今は、この気持ちは仙蔵には伝えないでおこう。

今よりこの世の中が平和な世の中になって、お互いが無事に再会できたら「好き」という気持ちを仙蔵に伝えようと思う。

それまでは、自分の心の引き出しにしまっておこう。

でも、これだけは言える




「今までありがとう。そして卒業おめでとう」




-------------「また会う日まで、元気で」っと。








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