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君の居た場所


一輪の花様に提出させて頂きました。本当にギリギリ提出で、申し訳ありませんでした。


「文次郎…貴様、随分と帰りが遅かったではないか。一月も私を一人にするなんて何様のつもりだ。まぁ…怪我もないようだし、これ以上は何も言わんが…良かった…。逢いたかったぞ」

そう言って手を伸ばしてやると、酷い隈がある奴は、困ったように少し笑いながら私を抱きしめようとしたから、抱きしめられる前に、私は奴を押し倒してやった。何故って?困った顔をしたいのは私の方だ。厳しい任務に出てから一月間ずっと連絡もなく勝手に居なくなられて、ずっと悩んで悲しかったのは私の方なのに、貴様が私に困ったような顔をするなんて許さない。

「ずっと…私がどんな思いでいたかなんて知らないくせに、簡単にそんな顔するな…馬鹿文次郎…」

無理矢理唇を押し付けて、何か言おうとする奴の口を塞ぐ。切なそうに驚いた文次郎の顔から言い訳なんか聞きたくない。私はずっと悲しくて、苦しくて、本当に寂しかったのに、私の精一杯の言葉に、困ったような顔をした文次郎が悪い。本当は…一ヶ月ぶりの接吻なのだから、もっと甘い雰囲気の中でしたかったのに、それが出来なかったのも、全て文次郎のせいだ。

「半月も経たないうちに、同期の仲間は全員…貴様の事は諦めろと言った。皆…半月しか経っていないのに、貴様の死を受け入れてしまったから、私は…本当に苦しくて、本当に…悲しかったんだから、もう少し反省した態度でもしたらどうなんだ」

「すまん…仙蔵。別に困った顔をしてるつもりなんてなかったんだが…、勘違いさせたなら謝る。悪かった」

そう言って、抱きしめられただけでも、なぜだか私の目からは涙が出てきて、先程まで、あんなにも怒っていたはずなのに、もう文次郎を許してしまっている。これが惚れた弱みと言うものなのか。

「本当に…文次郎が無事で良かった…」

押し倒していたままだった手を抱きしめようと回した腕は、ちゃんと文次郎の背中に回って、一人だった時のように、空を切る事はない。本当に、文次郎が自分の元に帰ってきたんだと…安堵した時。



「…っ!!…」

目を開ければ、今までこの腕の中に居たはずの文次郎の姿がなくなって、ただただ見慣れた部屋の天井が目に入り、先程までのあれは…全てが夢だったのだと、深い絶望感が私に襲い掛かった。

「…何で…あんな夢なんて見たんだ…」

まだ帰って来ないなら、見ない方が方が楽なのに、本当にもう逢えないなら、いっそ夢の中でも突き落としてくれれば楽だというのに、寝て見る夢は、文次郎が無事に帰って来る夢ばかり。出来過ぎた話ばかりで、

「…早く帰って来い…馬鹿文次郎…」

私が壊れてしまう前に。

君の居た場所

私はいつまでもそこで君を待つ




後書き

ギリギリ提出なのにこんなクオリティーの低い作品ですいませんでした(泣)しかもこれって誘い受けなんでしょうか?ただの悲恋な気が…私には難易度が高すぎました、すいません。素敵な企画に参加させて頂きありがとうございました!

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