星がキラキラ光ってる。


日が長くなったから、5時を過ぎてもまだ明るい。
だけど、星がキラキラ光ってるのはちょっとだけわかるから、なんか不思議な感じがする。

そんな空は、どこまでも続くのに周りの景色はどんどん変わっていった。


「喜八郎、どこに行くの?」


自転車をこぐ喜八郎の腰に手を回しながら、私は後ろから声をかけてみる。きっと聞こえてるのに、聞こえてないみたいに聞き流す彼にちょっとムッとするけど、怒ったって仕方ないって知ってるから我慢しよう。

少し湿って暖かな空気も、こうやって自転車で道を駆けてしまえば程よい感じの涼しさになってくれる…涼しくて良い気持ち。






チカチカしていたい人工灯の群れが消えて、空から太陽が帰っていって程よい暗闇になった頃、自転車が止まった。それがいきなりだったから、なすすべなく喜八郎の背中におでこをぶつけちゃった。



「大丈夫?」
「はい。ここは?」
「前に滝に教えてもらった公園。この公園から見る夜空が綺麗だって」



都会じゃなかなか見えないような星のキラキラがよく見えるんだ。そう続ける喜八郎に少しほほが緩んだ…喜八郎は、本当にふわふわして可愛い。



「綺麗ね。」
「名前が気に入ると思ったから、頑張った」
「ふふ、」


ありがとうの気持ちをいっぱい込めて、抱きつくと彼は嬉しそうに抱き返してくれた。

夏の虫が素敵な音楽を奏でているのを聞きなが、二人で原っぱに倒れ込んで星を見上げれば、漆黒に散りばめられた宝石が見えた。





夜空の下で






「喜八郎、」
「なに?」
「大好きです。」
「うん。僕も」




その後重なった唇は、夜空の星たちしか知らない。