ここは私のクラスである。

暑い。暑いのだ。暑い暑いあつあつあつあづづづづづづづづづづづづづづづ

「うるさい」

ぺしっ、と私のおでこを叩いて、机に寄っ掛かる勘ちゃん。

「どうしたの。独りで喋って」
睨んでないで言ってよ、と今度は頭を撫でてきた。

むむ、機嫌を取ろうとしているな。でも、それでいつもほだされている私。

勘ちゃんの手、大好きだから。


「んーとね、直射日光が当たってあーつーいー。だから暑いって言ってんの。今にも灰と化しそう。今なら立花先輩のさでぃすてっく攻撃も右から左に受け流せそう。」


うだうだと愚痴り始めた私に呆れもせず、「サディスティックって言えてないよ」って、ハハハと笑う勘ちゃん。

柔らかい笑顔に日光が当たって、少し、眩しく見えた。


「それにしても暑いね。この教室、カーテン無いの?」

「おとといね、三郎と追っかけっこしてたハチがさぁ、コケてカーテン掴んだらビリビリーっと」

「あはは、ハチっぽいね」

「うんー。ハチっぽい」

あははは、と二人で笑い合っていたら、急に勘ちゃんが目の前に立ち塞がった。

私に当たっていた日光は、勘ちゃんの身体で半分だけ遮られる。


すると、刹那、重なる唇。


「勘ちゃ、」


どうしたの、なんて言葉は、勘ちゃんの熱い唇に泡のように溶けて消えた。


熱が、唇から一気に身体を駆け巡る。

今度は、完全に勘ちゃんの陰に隠れたけれど、どんどん体温が上昇してさっきより暑い。



ちゅ、と音を残して、勘ちゃんが顔を上げ微笑んだ。


「ずっとこうしてればさ、日光当たんないでしょ?」





顔を真っ赤に染め上げた私は、からかうような太陽にそっぽを向いた。