スパン、と勢い良く自室の襖を開いた。案の定室内では原田がだらけてゴロゴロしていた。
「朔か。何だぁ?その格好は」
起き上がろうとしない原田をじっと見ているのは、口・鼻を布で覆った医者のような忍のような姿の朔。手には箒一本と水に濡れた雑巾一枚を持っている。
「どけ。邪魔だ」
「何だよ、いきなり来てそれはないだろぉ」
原田が頬を膨らませている。そんなのには目もくれずに朔は原田の元までずかずかと歩いていった。そして手に持っていた濡れ雑巾を原田の顔面に落とした。
「ぬごぁ!!?」
すぐさま顔面にクリティカルヒットした雑巾をのける原田。
「ななな何!」
「新年に向けて掃除をするぞ」
そろそろ元治も二年になる頃だ。外の全てのものが白い雪で覆われている。
「だからって顔面は無いだろ!普通に渡せよ!」
「いいから早く起きろ。嫌ならお前のことも掃除してやるぞ」
「ごめん、今の"掃除"はどういう意味?」
原田は朔の足首を掴んだ。
「汚い。腐る。触んな」
冷たい視線を突き刺す朔。逝かすぞコラ、と目で言っていた。朔の手にかかれば無気力な原田など箒一本で極楽浄土へ導いていけるだろう。
「酷っ!何?そんなに俺のこと嫌い!?」
「邪魔ばかりする人間など死ねばいいのに」
今日朔は特別機嫌が悪いという訳ではない。冷静である故に口が悪くなってしまうというよく分からない理由を作者は言い張る。土方曰く、朔ほど酷な人間はいないとのことだ。
「仕方ねぇなあ…手伝うよ。で、いくら払ってくr
「左之。まずはお前から掃除してやる」
その後すぐ屯所内に原田の悲鳴が響き渡り、朔の部屋は新築同様綺麗になったという。