「おおっ」

自室で大刀を鞘から抜き、その刀身を見て歓声をあげたのは朔だった。この間まで刃にあった曇りがない。

「おぉぉ」

障子から射す光に当てると白く反射する。それがあまりにも眩しかったので朔は目を細めた。

「刀、新調したの?」

そう問いかけてきたのは畳の上でゴロゴロしている原田左之助。この同室の男はやることがなくて暇らしい。因みに朔と原田は同室である。

「まあな」
「いーなぁ俺も新調してえな」
「してくればいいだろ」

輝きを惜しみなく放つ刀身を見つめながら朔は言う。

「金が無ぇんだよ」
「酒の飲み過ぎだ。禁酒しろ」
「やだよ。朔、金貸せ」

原田ムクリと起き上がると、真剣な眼差しで尋ねる。この男、反省という言葉を知らぬようである。

「誰が貸すか」
「ちょっと跳んでみろ。チャリチャリ音がしたら許さ」
「くたばれ」

原田の言葉を遮り、新調したばかりの刀を向けた。その鋭い切先は光に照らされてギラリと輝いている。

「冗談通じねえ奴だなぁ。だから女にモテねぇんだって」
「くたばれ。腹掻っ捌いてやろうか」

朔の新調したての刀の獲物第一号は危うく原田になりかけたとかならなかったとか。


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -