五、遅刻理由

「・・・遅いな。」
「靖友と尽八か?」
「ああ。」
新開と同じ時間にローラーを終え、ドリンクを体に流し込む。

「珍しいな。二人が遅れるなんて。」
「ああ。荒北は忘れ物を取りに行ったにしては時間がかかっている。」
「尽八は?」
「事情があって遅れるとしか聞いていない。」
「事情・・・ファンクラブかな。」
新開が呟いたのと、

「うっす。」
「遅くなった!」
二人が部室に入ってきたのは同時だった。

「福ちゃん、「福、すまんな。予定より遅れた。」・・・って、東堂お前、人の言葉にかぶせてんじゃねェ!」
「まあまあ、二人とも。その様子じゃ、何か理由があったんだろ?」
新開のその言葉に、荒北も東堂も、一瞬固まった。

「・・・な、んでもねェヨ!!」
「俺はやはり、女子からの告白を断るのに時間がかかってしまってな。もう少し早く終わるはずだったのだが「福ちゃん、ローラーやってたの?」・・・荒北、お前もではないか!!」
「結局、二人ともたいした理由はないっつうことか。」
「「・・・。」」
「そうなのか。」
「い、いや福ちゃん、俺は・・・。」
「福、これはだな、・・・。」
二人がもごもごし始めたとき、

「うわっ!?危なっ!・・・女の子?小さいな。」
部室の入り口にいた後輩が声をあげた。
途端に、びくっ、と反応する二人。

「お前、それ、どんなやつだ!?」
「は、はい。凄く小さな女の子で「小さい!?髪は?腰まであったか!?」・・・た、多分。」
走ってきた女子にぶつかった、という後輩に質問攻めの二人。
その食い付きようには、練習中の部員も驚いていたが。
それより、今は。

「練習を始めろお前たち。」
部活中だ。


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