二、世界は広い

世界は広い、と思う。
福ちゃんみたいな奴、新開、東堂・・・真波みたいな不思議チャンもいる。
だから、この世界は、広い。
























「福ちゃん、悪い。忘れ物した。・・・部活まで時間あるし、とってくるわ。」
「ああ。わかった。」
部室で着替えようとした時、教室に携帯を置いてきたことを思い出した。
げ、と口に出したところ、福ちゃんがこっちを向いた、というわけだ。
部室を出て、渡り廊下を歩き、教室へ。
あんまり時間がねェな、走ろ。と焦り、教室の扉を荒く開いた。
・・・誰もいねェ。
静まり返っている教室には、物音ひとつ響かない。
いつもは騒がしい教室の別の顔に、何だか知らない所にいるような錯覚。
・・・いやいや、時間ねェんだって。
ぼけっとしてたらはじまっちまう。
自分の席へ向かい、机を覗いて・・・あ、やっぱここにあった。
携帯を手に取り、また走りだそうとした時、なにかが視界に入った。
・・・何だ?あれ。
窓の端に掛かっているカーテンの下、何かが出ている。
好奇心が沸き、近づくと、それは靴を履いていた・・・って、人間かよ!?
何だってこんなところにいるんだよ、コイツ。
いみわかんねェ。
とりあえず、誰か確認すっか、とカーテンに手を伸ばす。

シャッ

音をたてて開いた黄色のカーテンに包まれている人間は、きっと驚くだろう。
確信に近い予想をして、人がいるであろう場所に視線を下げた。

「・・・は?」
思わず、間の抜けた声が出た。
でもそんなことより、だ。

「オメェ、・・・何してんの?」
「・・・。」










俺の目には、丸まった人間が見える。
例えるなら、猫のように。


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