気になってしょうがねェ。
・・・誰なんだ、あいつは。
登校しながら、ぐるぐると頭で考える。
昨日の部活後、東堂もアイツに会ったと聞いた。
そして、東堂に会ったときもひどく怯えていたらしい。
・・・顔も見たことねェし、学年が違うのか?
「あーっ!もう意味わかんねェ!!」
昨日から考え続けて頭おかしくなりそうだ。
突然叫んだ俺に、周りの奴等はびくっとした。
そういや、三年になっても一年の時みたいに俺にビビっている奴等もいるな。
まあ、それがなんだって話だけどヨ。
「荒北ではないかっ!」
「げ・・・。」
「何だ?寝不足なのか?隈がすごいぞ!」
・・・朝からうるさいのに会ってしまった。
背後から聞こえてきた奴の声に、顔を歪める。
「るせーな、オメーは朝からベラベラしゃべってんじゃねェ!」
「む?朝から俺の素晴らしい話術を見られて光栄だろう?」
「黙っとけ!!」
ああ早く離れたい。
なんでこんな奴にファンクラブなんて物ができたのか、本当に分からない。
とにかく早く歩いて部活へ向かおうと速度を速めた時、
「・・・寝不足の原因は、例の女子か?」
「・・・。」
東堂が言った。
「図星なのだな?」
「オメーもそうだろ。」
「うむ。どうにもあの女子のことが頭からはなれなくてな。」
「・・・のわりには通常運転だな。」
「当然だ!隈なんて作ったら俺のファンが心配してしまうからな!」
「言わなきゃ良かった。」
「にしても、女子に怯えられたのは初めてだ。・・・荒北ならわかるのだが。」
「殴られてェのか?」
こいつといると疲れるとげんなりしていると、頭痛がしてきた。
「寝不足から来るやつか・・・。」
眉間にシワが寄る。
と、東堂が除き込んできた。
「む?頭痛か?」
「・・・違う。」
「違わんだろう!荒北、今自分が頭を押さえているのを忘れたか?」
「うぜェ。・・・先に行け。」
「いや、無理をして倒れられたらこっちが困る!保健室へ行くぞ!」
「は?」
東堂はそう言った直後、俺の腕を掴んで走り出した。
「俺頭痛ェんだけど!?」
「ならば早くいかねばならんだろう!」
「ちょ、ばかかオメー!速いんだヨ!」
ぜえぜえと息を上げながら保健室の前に立っている俺は、東堂の失礼します、と言う声に開いてんのかヨ、と朝早くから保健室を開けた保健医を恨む。
「先生、・・・おらんな。」
「ったりめェだろ。まだ朝練前なんだからヨ。」
「では、荒北!このベットを使うといい!」
「お前人の話聞け。・・・つーか、俺は、部活に出るんだヨ!」
「いいから横になれ!」
「ふざけんな!」
もし寝るとしても俺はこっちのベットを使う、と隣のベットを囲うカーテンを開けた。
「何だと!?こっちでいいではないか!」
「うっせ、俺はこっちがいいん・・・なっ!?」
カーテンを開けきった瞬間、俺の目に飛び込んできたのは。
「む?どうした荒北。何かあった・・・っ!?」
アイツだった。
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