Title...
main+1
mainに長編を追加しました。
今回更新している「星でできた砂時計」はイベントにて無料配布した作品です。
2017.7.17
log+1
logページ、轍に咲く花下に購入者特典を追加しました。
詳しくは「文学フリマで頒布予定だった新刊(仮)について」をご覧ください。
2017.5.8
文学フリマで頒布予定だった新刊(仮)について
事実から申し上げますとGW入稿にも関わらず落としました。
社会人ナメてたとしか言えません……つらい
という話はさておき、今回の新刊予定だった「轍に咲く花 下」について
今後イベント参加の目処が立たない限り発行しても頒布ができないという状況になりました。
過去数回のイベントにおいて上巻をお嫁に連れて行っていただいた方々には、微妙なところで発行を止めてしまい、彼らのその先をきちんとした形で提供できなくなってしまった事、深くお詫び申し上げます。
つきまして、5/7イベント当日以降は以下の形で進めさせていただきます。
1.今回のイベント以降新刊を購入される方について
→上巻をお渡しする際にパスコードを記載した用紙をお渡しします。
イベント日以降こちらのサイトにて下巻に収録予定だった話を随時UPしていきます。
その他、詳細につきましてはお渡しする用紙をご確認ください。
2.今回のイベント以前に新刊を既に購入されている方について
→5/7イベント当日に来られる方につきましては上記と同様にパスコードを記載した
用紙をお渡しします。
その際購入を確認できるように事前に購入した現物(上巻)の写真or現物を用意してくださるとありがたいです。
その後、詳細につきましてはお渡しする用紙をご確認ください。
→当日に来られない方はメールにてご連絡させていただきます。
お手数ですがemerald9866☆gmail.com(☆を@に変えてください)に購入した現物の
写真を添付した上ご連絡ください。
詳細はメールにて記載させていただきます。
要約すると上巻をお嫁に連れていけばWeb上で良ければ下巻収録分全公開しますよというお話です。
上巻をWeb上で公開する予定はありませんのでご注意ください。
少なく見積もっても半年以上東京開催のイベントでのサークル参加は見送る予定ですが、地元(広島)でのイベントには参加する可能性があります。
もしまたご縁がありましたらその時はよろしくお願い致します。
2017.05.04
小ネタ
※「花は口程に物を云ふ」より
天の申し子の二人のネタになります
雨の日のジルと邦枝さん
数ヶ月前に実家から引き取った少年には少し特殊なトラウマがある。おそらくはそれが原因なのだろうが、
「またか……」
雨音が静かに響く朝、いつでも彼は邦枝に全力で抱きついて眠るのだ。
「ジル、起きろ」
「……ん、」
まるで骨でも折ろうとするかのように細い腕で必死に抱きついてくるジルの体を揺さぶり、眠りに落ちているジルの意識を呼び戻す。しばらくは唸るばかりで一向に起きようとはしなかったが、少ししてから観念したように薄く目を開いた。
顔を上げ、こちらを見る双眸に灯る碧が部屋の明かりを取り込んで光る。それでも彼の瞳はどこか曇って見えた。
「……くにえ」
「飯。作ってやるから起きろ」
前髪をかきあげるように頭を撫でてまだ眠りの縁にとどまろうとするジルを起こすが、まるで引き取ってすぐの頃のような寂しげな目で邦枝の胸に額を擦りつけ、だだっ子のように甘えてくる。
「……邦枝」
震える腕が、擦り付けてくる額が何を確かめているのかなど、とうに分かっている。
だから、この細い腕を振りほどけた事など一度もない。
***
この厄介な恐怖症が発覚したのは引き取ってから一週間ほどで、ようやくジルも一人で寝ることに慣れてきた頃だった。
「邦枝、起きて」
まだ携帯の目覚ましも鳴らないような早朝に突然飛び込んできた声と振動に半分ほど思考が現実に引き戻される。寝坊してしまったのかと手元の携帯で時間を確認するも、いつも起きる時間よりも一時間も早い時間を示していた。
「……んだ、まだ朝じゃない……」
もう一度寝直そうと枕に顔を沈め、体を揺さぶる手を見ないままに払うと、逆にその手を引っ張られた。
「嫌だ、邦枝寝ないで、起きて!」
悲痛そうな叫び声にずるずると思考の底を這っていた意識は一瞬で覚醒した。
「なんっ、どうした……!」
上体を起こして横に立っているジルの姿を確認しようとするより先に、ジルが勢いをつけて胸元に飛び込んできた。
「雨が、」
氷水でも浴びたかのように酷く震えるジルの言葉にふと窓の外を見る。そうしてようやく気がついた。
「(……ああ、そうか)」
土砂降り、というには少し落ち着いているがそれでも確実に”降っている”と分かるほどの雨が、音を響かせて窓を濡らしていた。
「ジル、落ち着いて深呼吸してみろ」
両親の命を一度に奪い去り、彼の人生を一八〇度ひっくり返した日もまた、記録的な大雨の日だったのだ。
震える体を布団ごと包み込んで冷え切った体を暖め、必死になって擦り付けてくる頭をゆっくりと撫でる。
「邦枝……くにえ、っ」
まだ十年しか生きていないこのちっぽけな少年が、両親の死からたった一週間で立ち直れるわけがない。
引き取ったその日に邦枝に対してもいなくなってしまう恐怖に震えて泣いたジルが、雨の日から死を、邦枝が消えることを連想しても決しておかしくはないだろう。
「俺はいなくならないから」
撫でるだけだった手でぐ、と頭を胸に押し当てる。半分正気を失っている状態のジルは抵抗することもなく、素直にそれに従った。
どくどくと、己を生かすために不眠不休で働く心の臓が立てる音が、押しつけられていることで自分でも感じられた。
「ちゃんと動いてるだろ、俺の心臓は」
「……くに、え」
「怖くなったらこうやって確認すればいい。寝てても、俺は死んでる訳じゃない」
過呼吸になりかけていた呼吸はだんだんと元に戻り、震える体もだんだんと温もりを取り戻していく。代わりにむしるように両手で掴んでいた寝間着を離し、その手を控えめに背中へと回してきた。
もうこちらが押しつけずとも、ジルの額は胸に押し当てられたままだった。
「……落ち着いたら、朝ご飯でも食べるか」
一時間も早く飛び起きてしまった代償にジルを手伝わせるのも、悪くないかもしれない。
雨の日の記憶を楽しいものに塗り替えてやれば、きっといつかは雨を恐れることもなくなるだろう。
***
「さすがに成人してもやるのはみっともないと思わないか」
「別に」
もう抱き抱えられるほどのサイズでもなくなってしまった大男になってもまだその癖がなくならないとは思いもしなかった。
書きかけネタ
(花は口程に物を云ふ)
祖母と祖父に、父と母。それとそこにつながる兄弟夫婦。全員を数えると十を優に越えていた。その全員が信じられないものを見るように志月を見ていた。
「一家の名を汚すことだとは分かっています。それでも、後悔はしていません」
苦い顔をする家族へまっすぐ視線を向ける。怯めばそこからつけ込まれる。つけ込まれれば、終わりだ。
たった一人の弟子である小野田渉と恋仲になったのはまだ記憶に新しい。想いを伝え合って、自分よりも少し小さなその体に触れて。
渉の方は大仕事を終えた後のように元気を取り戻していたが、志月がするべき事はそこでは終わらなかった。
「……彼の、意志は」
「合意の上です。強制するつもりはないので、離れるときは大人しく身を引くつもりではありますが」
ばれて事がややこしくなる前に一家の前で事実だけを端的に打ち明けた。たった一人の弟子と恋仲になった、と。それだけでも十分理解できたのか、周囲の反応は予想通り良いものではなかった。その表情の裏で何を考えているのか、志月でも分かる。
小原家の長男が、高校にも通っていない一番弟子と、それもよりによって男同士で。それだけの事をしておいてよく皆の前に顔を出せたものだ、と。
「それで志月はいいのかい」
眼鏡越しに父、雅人の視線が向けられる。母譲りの志月とは違うたれ目の優しい目が、いつもは優しく包み込んでくれるようなその視線が、今このときだけは緩く自分を絞め殺すかのように鈍く光る。
「気の迷いだった場合、私が縛り付けることで得られる利点はありません」
「そうじゃなくて、志月の気持ち」
父として聞くよ、と。一家の緊迫した空気を気にもせず雅人は笑った。
「相手が誰かはこの際どうでもいい。でも好きな人と別れたいって言われてはいそうですか、って手を離せるような人に育てた覚えは、少なくとも僕はないなあ」
「……」
「一家の許可はいらない。志月のしたいようにしなさい」
こちらの言葉も聞かずに立ち上がり、座ったことで少しずれた着物の裾を気にしながら雅人は背を向けて歩き出した。
「これ以上この場をもつ意味はない。志月も早く渉君の稽古に戻りなさい」
「あ、……はい」
襖を閉める前に振り向き少しきつめの声音で言い放ち、彼らしからぬ強さで襖を閉めた。乾いた音が一度響き、住ぐにまた静寂が訪れる。
この場を作った張本人が先に抜けるのも気が引けたが、立場的には志月より上にある雅人の言葉に逆らうこともできずに、呆然と黙り込む一家に一度頭を下げて同じように部屋を後にした。
***
小原父は眼鏡のゆったりおじさんです。
main+1
うさぎのせんせい up!
2017.1.4
main+1
花は口程に物を云ふ up!
2017.1.3
log開設
topに新規ページ「log」を追加しました。
発行物を一覧にしております。
2017.1.2
main+3
雨上がり、傘を閉じて up!
ぼくと二人のあるじさま up!
冬に咲く花 up!
2016.12.30
サイトopen
サイトを公開いたしました。
不具合等ございましたらメールフォームからご連絡いただけるとありがたいです。
2016.12.30