小説 | ナノ





「なぁ、苗字名前。」


私はそっと後ろを振り返る。

誰の声かも知らずに振り返る。


「死んでくれへん?」


頭を抱えたくような声。


イッタイ、ナニガオコッテイルノ?






   黒と白
    Please believe me.






クラスで1人。

さすがに、数日も続けば慣れてきた。

大丈夫、辛くない。

まだそう思える気持ちがあった。


移動教室で、返ってきたとき、急に私を呼ぶ声がした。


「なんで、学校来てんやろー?」


私の体が反射的に大きく反応した。

この声の人だけは、どうしても私に恐怖を与える。


「おかしいやろ?佐々木は苦しんどるっちゅーのに。」


「だから、私はやってない…っ!」


私は恐る恐る声が聞こえる後ろを向いた。

後ろには白石君と忍足君が立っていた。


「なぁ、俺らは見たんやで。」


白石君のはっきりした声がとげのように感じる。

しかし、忍足君は白石君の態度とは正反対だった。

うつむいて極力わ私を見ないようにしている感じだ。


「謙也…?」


白石君が忍足君を呼ぶ。

しかし、忍足君は「・・・お、おうっ!」と言っただけで、

私に「死ね」などという様子はなかった。

白石君は忍足君の様子を見て眉間にしわを寄せた。

きっと、私に対して同情があるのかとか思ったのだろう。


「…まぁ、ええわ。ほな苗字さん。いってらっしゃい、」


いってらっしゃい?

不思議に思った。

教室は目の前にある。

私は白石君といち早くわかれたかったので、急いで教室に入った。


……。

教室に入ると机がいつもより綺麗に並んでいた。

そして不思議なことに、一か所だけ不自然なスペースがある。


古典的な悪戯…。


思わずそう思った。

きっと私の机はゴミ捨て場にでもあるのだろう。

そう考えた時、先ほどの「いってらっしゃい」の意味がわかった気がした。







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