小説 | ナノ





「そういえばさぁ、知ってるー?」


「あー、佐々木のこと?自殺しかけたんだって??」


学校で広まる噂。





「ちゃう。苗字名前に殺されたんや。」




そして、嘘。




   黒と白
    Please believe me.



学校に行きたくない。

人生で初めてそう思った。


昨日、佐々木さんが飛び降りてから、

私は意識があるのかないのかよくわからない状態で家に帰った。

指先が冷たくて、まだ震えている。


「ねぇ、佐々木が自殺した話知ってる?」


「え、まだ生きてるらしいよ。一命は取り留めたって…」


通学中の子からその会話が聞こえてきて私は少しほっとした。

生きている。

その事実が私には大きな支えとなった。


「よかった。」


私がつぶやくと後ろから鞄が強く体にあたった。

いや、当たったレベルではないわざとぶつけた感じがした。


「よかった?何言うとんねん。…人殺し。」


聞き間違いではなかった。

私にそう言ったのはテニス部の部長である白石蔵ノ介くんで、

私のことを人殺しとはっきり言った。


「え、…何、…言うとんの?」


かすかに声が震えた。

どうして私が、私は何もしてないじゃないか、

いろんな言葉が頭の中を駆け巡る。


「何言うとんの?ふざけんでほしいわ。」


白石君の後ろにいた金色君や一氏君も私を変な目で見る。




「俺らは、お前が突き落とすところをちゃんと見たんや。」



白石君が私の目を見てはっきりとそう言った。

後ろで2人が私のことをキモイと言う。


「私は、あの子に呼ばれて…ッ!!!」


必死に訴えようと言い返すと白石君がきつく睨んだ。


「呼ばれたんやったら、あいつは怪我してへんやろ?」


「そうやでー、もしそうやったらアンタが止めるはずやろー??」


「でも、あいつは怪我してるっちゅーことはおのれが落としたんやろ。」


白石君、金色君、一氏君が私のことを必死に攻めてくる。

私の話を聞いてもらえないのがイラつく。

でも、彼らが言うことは正論だった。

私がいたのに佐々木さんを止めれなかった。

私も悪いのではないのか?

心のどこかでそう思った。


「…。」


私は、3人に何も言い返せなくなって、黙ったまま教室まで走った。

教室に行き、友達に話を聞いてもらう。

そうすれば、私の無実は証明されると思った。


教室のドアを開けると上から音がした。

バシャッ

大きな音を立て、私は思いっきり水をかぶった。


周りは私のことを汚いという。


「……最悪。」


そう言って、周りを見回す。


「何が最悪?人殺しのくせに。」


「お前の方が最悪だよ、ブス。」


思わず足を止めてしまった。

その言葉を言ったのは、

私を汚いと言った男子でもなく、目立つ女子グループでもなく、

まぎれもなく私の所属していたグループだからである。


昨日まで笑い合っていた友達が私をけなす。


それでも、一緒にいた中で一番の友達。

親友は何も言わなかった。


私はそれだけのことが嬉しくて、彼女のもとに寄ろうとした。


「ねぇ、何で学校に来れたの?」


静かにつぶやかれた言葉。

汚いものを見る目。



あぁ、人間は何でこんなに薄い友情を持っているのだろう?







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