短編 | ナノ




貴方の居ない世界なんて

赤い血がポタリと地面に落ちた。今日も俺は変わらず自らの手で身体を傷つける。もうお前が居なくなってどれほどたった?あいつらは俺を心配そうな顔をして見ていた。
そんな顔しなくたって俺は大丈夫だよ。微笑んだつもりがうまく笑えなかったらしく、余計にあの2人は眉間に皺を寄せた。

居なくなった大切な恋人の名前を呼んでみても返事は帰ってこない。当たり前なんだけど。もうあいつは居ない。俺から…俺達から居なくなった。
俺は何も助けれなかった。またくる楽しい明日はあの日を境に来なくなった。きっと哉太も羊も悲しかったのにな心配かけちゃったな。

小さな罪悪感を無くすようにまた左手首をカッターで切り付ける。
痛い?痛くない。心のほうがもっと痛いから。ゆっくりと傷口から赤い血が下に堕ちる。あいつの居ない世界に俺は耐えられないみたいだよ。月子今逝くからね。あの日家でデートしていたらあいつは死ななくてすんだのにな、ごめんな。でももうおまえは独りじゃない。俺が側に居てやるから、もう少しまってくれ。

さよなら、哉太、羊。

後悔しても戻ってくれない世界にお別れしよう。
手首を深く深く切り付ければ溢れる量の血が浮き出ては堕ちる。手首を見つめれば何だか安心する。薄れていく意識、バンッと勢いよく開いたドア。こんな開け方をするのは哉太だな。
錫也!錫也!
必死に俺の名前を呼ぶ哉太の顔は真剣で、いつも真剣に取り組んでくれたらいいのにな。慌てて携帯を開く手を右手で掴む。何だよ。少し怒った声音を最期に、瞳を閉じた。


この世界も悪くは無かった。


そう思いながら。


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セリフが無い!
またもや死ねた\(^p^)/




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