短編 | ナノ




もう一度


(サボ死亡設定)


忘れない人がいる、忘れられない人。


『もう一度』






二度目の人生なんて考えてもいなかった。生きていいのか、俺の頭の中はそんな疑問で。死後なんてのは考えもしていなかった。


死んだはずの俺が再び目を覚ました。あの戦争が悪夢だったという錯覚におちいるけど俺の腹には確かにあの時、マグマが貫通して出来た傷跡が残っていて。
じゃあ何で俺は今。


「どうしてって顔してるな」

何だか懐かしいような声が頭上から降ってきた。視線を上にあげると、懐かしい帽子、服。大人の姿になった、あの日俺たちを残して死んでしまった兄弟。

「サボ…?」

変わらず欠けた歯がトレードマークの歯をしたサボはにいと笑った。

「久しぶりだなエース」

あのときより少し低くなった声、大人っぽくなった顔、高くなった身長、鍛えられたのか腹筋は割れていて筋肉も俺ほどある。
だけど笑顔は変わらない。あの日のまま、幼さの残る笑顔。ルフィと違う、だけど俺を安心させてくれた笑顔。


「ごめんな、エース。」
困った笑顔をするサボの頭に拳骨を一つお見舞いしてやる。

「お前!!どれだけっ、俺が心配したかっ!!どれだけ!!」

マシンガントークのようにいつか会ったら言ってやりたかった事を吐き捨てた。途中からは涙が溢れて、いつの間にか自分でも何を言っているのか分からなくなっていてそれでも俺の口は言葉になっていない言葉を吐き出していく。

ふわり
懐かしいサボの匂いがした。俺より少し低い体温が心地よい。泣いた俺を包むようにサボは俺を優しく抱きしめた。

サボの服をシワがよるんじゃねェかってくれェに力強く掴んで、泣きじゃくる。子供をあやすようにサボは背中をさすったり頭を撫でたり。10年前に亡くなった大切な兄弟が居てもう感じること無い鼓動もあって。


サボ。



どれだけ寂しかったか。

サボなら分かってるだろうから。


サボと再び会えた嬉しさと大切な弟を置いて逝ってしまった後悔、約束を守ってやれなかった罪悪感。色んな感情が俺の中をぐるぐる駆け巡って。

「大丈夫だエース。ルフィならきっと。何だって俺たちの弟だろ?」

大丈夫、また会えるよ大切な人に。俺が保証する!!サボが笑う。その言葉と笑顔でさっきまで色んな感情が渦巻いた心は満たされてるように暖かくなった。

いつもサボには助けられている。

「久しぶりエース」
「おう!久しぶりサボ!!ずっと会いたかったぜ」
「俺もだ!!エース」


二人で笑った。大切な弟の夢が叶うのを願ながら。




――――――――
あとがき


サボ絶対生きてますよ!!
でももし本当に死んでたら?という発送から生まれた話。
サッチやオヤジ様、ロジャーとルージュも出したかったけど無理だった。てことでもしかしたら続くかも!!






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