短編 | ナノ




甘い洋菓子

放課後たまたま暇だったから幼なじみが入部している弓道部に行ってみれば何故か錫也と羊も居た。何だか俺だけはみごられてんじゃねーのなんて思考をすぐさま追い払って部室に入る。
「見学いいっすか?」
金久保先輩に問い掛ければ優しい笑顔でどうぞと言われた。最初からこう返って来ることは想像していた。弓道部に見学に来るのは今日が初めてじゃないからな。
ちょうど休憩の時間何だろう、皆お菓子を食べながらはしゃいでいる。予想なんてしなくてもこのお菓子は錫也が作ったものだろう。
当たりを見渡せば月子の姿が見当たらない。不思議に思って錫也に聞けば隣に居た羊に、今日は生徒会に行くって言ってたでしょと言われた。俺は錫也に聞いたんだ!

「七海先輩」
後ろを振り向かなくても誰だか分かる。こいつは1年のくせに月子にベタベタしやがる生意気な奴だ。
「あ?」
「明らかに嫌そうな顔しないでくださいよ」
困った様な笑い方をするぱっつん。確か月子情報だと天羽と従兄弟だったけか。
「何だよ」
少し小さい後輩を睨みつければ、遠くからひいぃいいと言う喚き声。
「はぁ…まぁ良いです。七海先輩の分のお菓子持って来ましたよ。」
ニコっと笑えば木ノ瀬は黄色と黄緑のマカロンを俺の手の平に乗せる。目を晒しながらサ、サンキュってお礼を言えばどういたしましてと言いながらクスクスと笑い出した。
俺変な事言った?って何で後輩に笑われねぇてんだよ!!何笑ってんだよと睨めば反省の無い謝罪が飛んできた。それでも笑っているからすこしやけくそで何だよと言えば、クスクスと笑いながら想いもしない言葉が発せられた。

「すみません。七海先輩が可愛かったのでつい。」
「は…?」

軽くフリーズをしかけた。俺が可愛い?何処がだよ。つか俺は男だ!そう言いたいのに言葉に出来ない。

「木ノ瀬くん、何、僕の哉太を口説いてるの」
固まったままの俺の横に立っていた羊も変な事を言い出した。何だよこれ。そもそも俺はお前のものじゃねぇ!
「ふふっ、七海君顔真っ赤だよ。」
仕舞いには金久保先輩まで俺をからかいはじめた。何でこうなったんだ?
必死に頭を捻ってもまったくといっていいはど何でこうなったのか分からない。

フリーズから戻った俺は仲良く話している錫也と宮地に視線を送る。だけどあいつらは話に夢中なのかまったく気付かない。はぁ、ため息を一つ零せば「幸せ逃げますよ」何て言われてしまう。誰のせいだよ、誰の!




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