この訳の分からない空間で出会ったのは、綺麗な白髪の男の子。緑の部屋でありさんと話していた所を見かけて、話しかけて一緒に行く事になった。
「ねぇ、イヴは誰とこの展覧会に来たの?」
「お父さんとお母さんと来たんだけど、待ちきれなくて一人で見てたら気づいたら誰もいなくなってて…」
僕もだいたい一緒かなー、と手を頭の後ろで組んで笑った。彼の青い瞳が消えて長いまつ毛が弧を描く。彼の笑顔は、この歪んだ空間で輝いていて、思わず見とれてしまった。
小鳥遊と言った彼は、私より一つ年上でとても話しやすい人だった。二人で色んな謎を解いたり、無個性とか赤い服の女から逃げたり、怖いはずなのに二人でいたら何でか楽しかった。繋いだ右手が温かくて安心したのは、きっと他に生を感じられなかったからだろうか。
「あ、誰か倒れてる………」
「ホントだ、話しかけてみようか」
「死んでないといいね」
ケラケラ笑う小鳥遊は、きっと私を気遣ってくれているのだろう。少ししか一緒にいなかったけど、小鳥遊が優しいのはすぐに伝わった。
小鳥遊は倒れてる人をペチペチ叩いて起こそうとするが、唸り声をあげるばかりで一向に起きなかった。苦しそうなその人の手を握ろうと手を見ると、その人が何かを握っているのに気づいた。
「鍵だ…っ!」
そう言えば、開かない扉があったよね。そこの鍵かもしれない。そう小鳥遊に伝えると、彼はヘラッと笑って倒れてる人から鍵を取って言った。
「イヴはここでこの人の事見ててよ」
「小鳥遊は?」
「ちょっと見てくるよ。その間にこの人起きるかもしれないからさ、ね?」
渋々頷くと彼はまた笑って戻って行った。少し寂しいと感じるのはやっぱり……。
2013.0526
とか言うIb夢を誰か書いていないですか?
back