私の隣の家に住んでいる双子。顔はこれでもかっ!ってくらい似てるのに、性格は全く似ていないそんな双子。彼らとは幼稚園の頃からの付き合いで、世に言う幼馴染みと言う奴だ。高校も同じ所に入って、登下校は今でも一緒だったりする。双子兄は、強くていつも私と双子弟を守ってくれた。他の人には冷たいとか、愛想がないって言われてるけど彼の笑顔は双子弟のように優しいのを私は知ってる。双子弟は優しくていつも笑顔で勉強を教えてくれた。ヘタレ体質で気の弱い彼はみんなからバカにされたりするけど、自分をいじめた人の悪口を言わないのは双子兄にも負けない彼の強さだと思う。



「リン!」

「まったく、早くしろよ」



最初の緑の目をして手を振っているのが、双子弟のエミル。後の目が赤くて口の悪いのが双子兄のラタトスク。今日も仲良く迎えに来てくれたみたいだね。一人っ子の私としては仲のいい双子が羨ましかったりする。



『ラタトスクそんなカリカリしないでよ』
「別にカリカリしてねーだろ」
「もう、その言い方が悪いんだよ」
『それに比べてエミルは優しいねぇ』
「そんな事ないよ、リンの方が優しいよ」



私の朝はエミルとのじゃれあいから始まると言っても過言ではない。私がエミルにちょっかいを出して、エミルが困りながらラタトスクに助けを求めて、ラタトスクはそれを傍観してる。これが私たちの朝の風景。

だけど、最近それが崩れかけているんだ。



「エーーミル♪」



隣のクラスのマルタ・ルアルディちゃん。
彼女がエミルを好いてしまったんだ。マルタちゃんがエミルを好きになるのがダメだとは言わないけど、私たちはいつも三人だったからエミルがいなくなるのは少し寂しいと感じてしまう。



「あ、マルタ・・・・・」
「おはよっ!エミルにラタトスクにリン」
「・・・・・」
『おはよ、マルタちゃん』



マルタちゃんは可愛いと思う。ずっと一緒にいる幼馴染みなんかより、それはもう可愛く見えるだろう。ラタトスクだって挨拶はしないが、きっと可愛いって思ってるんだ。このムッツリめ。



「おい、エミル、リン行くぞ」
『早く行かないと遅刻だね』
「もうリン、そんな暢気に言ってる場合じゃないでしょ」



いつまでもずっと一緒、なんてそんなの無理なのは分かっているけど、まだせめて高校を卒業するまでは一緒にいたいと思う。それくらいは許してくれるかな。



『・・・・・・なんてね』
「何か言った?」
『ううん、何でもない』


今は何も知らないふりして笑おう。



俺はリンが好きだ



彼の小さな呟きは、賑やかな通学路で誰に聞かれる事なく消えていった。






2013.02.16

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