酔っ払いに注意 | ナノ

酔っ払いに注意




とあるアパートの一室の前。息を吐いて、ギィ、と鍵の壊れたドアを開けると、中は真っ黒だった。
相変わらず不用心だな、と思う。だけどよっぽどの物好きかもしくは死にたがりでもなければこの部屋に侵入する人間はいないだろうから、きっと大丈夫だろう。自分は例外として。
真っ黒な部屋に足を踏み入れる。暖房のつかない部屋は外よりは幾分か暖かい気がするが、それでも肌寒い。


「…シーズーちゃん」


部屋の主を呼んでみる。けれど返事は返ってこない。真っ黒な部屋は静まり返っていて、呼吸音すら自分のものしか聴こえない。


「(…留守?)」


時刻は夜中の11時過ぎ。流石にこんな時間では仕事は終わっているはず。今日も池袋の街で姿も見たし、喧嘩もした。なのに留守という事は…


「(…飲み屋?泊まり?……まさか浮気!?)」


なんだかんだ言ってこの部屋の主とは『浮気』という単語が浮かぶ関係である自分。流石にそれは無いとは思うけど…最近妙にモテだしてるからそうも言い切れない。


「(シズちゃんの馬鹿…)」


浮かんだ思考は簡単には振り払えない。急に気落ちして、ドアを閉めて玄関で靴を脱ぐ。シーンとした部屋で溜め息を吐くと、泣きそうになった。


「シズちゃんの馬鹿…」


呟いて部屋に自分の声が響くと、余計に虚しくなる。仕方がないから真っ黒な部屋を壁伝いに進んで居間に行く。
しかし真っ黒で見えない分、足元も見えないわけで。


「きゃっ!!?」


自分とした事が、何かに躓いて転んでしまった。我ながら派手に転んだ為、顔面を強打した。鼻血は出ていないようだけど、近くに机等がなくてよかった。


「痛いなもう…なんなのさ一体?」


自分が転んだ原因を手に取る。それは感触からすると空き缶のようだ。


「…ビール?」


そう確認出来たその時、誰かに背後から抱えこまれた。抵抗する暇もなくて、そのまま抱えられてベッドに放り投げられる。


「な…っ!!?」


不覚だ。自分とした事が、全く気配を感じなかった。まさか泥棒でも侵入していたのだろうか?とんだ粋狂な奴がいたものだ。しかしまずは、この状況をどうにかしなければ。
けれど相手を確認しようとする間もなく、自分を放った奴は上に覆い被さってきた。
まずい、と思いながら暗闇に慣れた目を凝らす。そして理解した。それはいないと思っていたはずの部屋の主にそっくりで。


「え、あれ、なんで…?」


そっくりなのは当たり前だ。


「いーざーやー…手前何人ん家に勝手に入ってんだ、ああ゙?」


これはまさしく本人そのものなのだから。


「不法侵入たぁ、いい度胸じゃねぇかよ、なあ?」
「か、鍵開けっぱなしのシズちゃんが悪いんでしょ!!」
「るせぇ…つうか何しに来たんだよ」
「…シズちゃんに会いに」


明日仕事休みだしね〜、なんて余裕ぶって言ってみる。するとシズちゃんはへぇ、と呟いて。


「休みだあ?だから俺に会いにきたって?あー…じゃあ犯すわ」
「なんで!?」


仮にも、彼女が自分に会いに来たんだから少しくらい喜んでもいいと思うのだが。というか今のシズちゃんは言動がおかしい。暗闇でお酒を飲むのも、こうやって私を押し倒すのも。挙げ句の果てには犯すとまで口走る始末。いやそれ以前にどういう理屈でそうなるのか、さっぱりだ。
…これはまさか。


「シズちゃん…もしかしなくても酔ってる?」
「あ?」


漂う酒の香り。さっさの缶からして、これはまさしく酔っ払いのはず。普段ならばこんな大胆な事が出来るような男ではないのだから。きっとそうだ、間違いない。


「酔ってねぇし」
「いやいやこんな状況で嘘つかなくてもいいからね?」
「るせぇ…」
「はいはいわかったからまずはどいてよ…って、ちょ!?//」


酔っ払いの行動はいくら私でも予測は不可能。いきなり首筋に顔を寄せられると、流石に驚いた。


「手前…いい匂いすんな」
「ん…やだ、ちょっと離れてよ……ひゃっ//」
「あま…」


匂いを嗅ぐだけならまだしも、べろり、と舐められるとは。舌の感触が擽ったい。


「んん…//」
「…臨也」
「な、なに…?//」


首筋を舐めたまま、シズちゃんは何かをし始めているようだ。その証拠に、腹部に違和感。


「…なに、してるの?//」

「捲ってる」


言いながら私の服を胸より上まで捲りあげたシズちゃん。いつの間にか首筋から離れている。外気に素肌が晒されて、ぶるりと身体が震えた。


「ちょ、シズちゃん家暖房無いんだから寒いんだけど」
「すぐあっためてやっから我慢しろ」


さりげなくシズちゃんが言った言葉。意味を理解したくはないけれど、高鳴る鼓動が抑えられない。
すると今度は、ブラをたくしあげられる。


「やだシズちゃん酔って頭おかしくなったんじゃ…っんん//」


重ねられた唇。少し抵抗しようと胸元を押すがビクともするはずがなく、更にはその右手首を掴まれて布団に抑えつけられた。
いっこうにキスをやめないシズちゃんのもう一方の手は、するりと私の腹部を撫で上げて胸元へとたどり着く。


「あっ、んぅ///」


胸をやんわりと揉まれると、小さい声が漏れた。その隙に舌が口内に侵入してくる。


「ん、むぅ…っはぁ、んん//」


静かな部屋には唾液の音がくちゅくちゅと響き渡り、私の耳に届く。その間にもシズちゃんの手は私の胸を揉みしだき、先端をきゅ、と摘んだ。
いきなりの衝撃にびくり、と身体が跳ね上がる。


「ふぁ、っやん//」


それと同時に唇を離されて、シズちゃんは暗闇でニヤリと笑った。


「いーざーや」
「…な、なに…?//」
「乳首勃ってる」


そう言ってまたきゅ、とそれを摘まれて、更に指で弄られる。強い衝撃と快楽に、身をよじった。


「や、シズちゃ…っ//」
「や、じゃねぇだろ?」


いつもよりSっ気が多いのは気のせいだろうか。まさか酒のせい?恥じらいというものが、今のシズちゃんには全くないようで。


「っやぁ//」


胸を揉みながら、もう片方の胸に舌を這い始めた。ざらざらとした舌の感触がなんとも言えない。


「…胸だけでイけんじゃね?」


信じられないような事を言いながら胸を舐めたり吸ったり甘噛みするシズちゃん。肩で息をしながら震えていると、強く吸われるのと同時に強く先端を摘まれた。


「ひゃあっ!!///」


びくびくと身体が痙攣する。そんな私を見てシズちゃんは得意気な表情をしながら微笑した。


「ほらな?」
「は、…ほ、ほらじゃないから、ばか!!////」


その顔になぜか自分が恥ずかしくなる。シズちゃんはもっと純情なはずなのに。
Sなシズちゃんもいいかもしれない、と思った自分は多分Mになりかけているのかもしれない。想像すると、身体が疼いた。


「臨也」


不意に名前を呼ばれて、シズちゃんの顔が近づいてくる。目を閉じると唇が重なった。
触れるだけのキスが離された時、このまま身を任せてしまおう、とか。浮気の疑いがなくなった為、安心したのもあってかそう思った。
どきどきする心臓の音がうるさい。
されるがままにされてみようと、決意したのとほぼ同時に。しかしだけど悲劇は起こった。


どさり


「…え?」


胸元に落ちたのはシズちゃんの頭。と、急に重くなる身体。苦しくてもがくけれど、身体はビクともしない。


「ちょ、シズちゃん、今の状況で寝るとか有り得ない!!」


最低だよ馬鹿!!と叫んでも起きる気配はない。それどころか寝息まで聴こえてきた。


「(これで起きたら覚えてないとかだったら許さない…!!てか寒いんだけど!!)」


心の中で叫びながら、胸元の頭を両腕で抱きしめる。怒る反面、内心起きた時の反応も楽しみである。


「(風邪引いたらシズちゃんのせいだ)」


それでも少し物足りなかった。




***




目覚めると、顔に柔らかい感触があった。枕とは違い、温かく弾力がありすべすべしている。


「…すべすべ?」


不思議に思って顔を上げる、と、驚愕した。それと同時に、頭痛。というか、即座に手を退かした。


「ん…シズちゃん?」
「痛…え、あ、なん…!!?//」


俺の下には胸を晒けだす臨也。弾力の正体は、臨也のそれだった事を知る。


「あ、酷い…やっぱり覚えてないね、その反応は」
「はあ!?つかなんでここに…いやその前に服なおせ!!///」
「シズちゃんが捲ったんだからシズちゃんがなおしてよ」
「は、俺!!?///」


全く覚えていない俺と、不機嫌そのものの臨也。こいつの服を、俺が捲っただと?有り得ねぇ!!


「人のおっぱい散々弄んだ挙げ句勝手に枕にして寝といてさ、更には覚えてないとかマジ有り得ない、最低、死ね!!」
「な…っ」


何がなんだかさっぱりわからない。わけがわからなくて混乱していると、臨也が突然くしゃみをした。


「あーもう…やっぱり風邪引いた…」


シズちゃんのせいだ、と言って布団の中へと潜ると、淀んだ瞳で睨まれた。
確かにこの部屋は寒い。しかも暖房器具は使えない。


「…あっためてやろうか?」
「っ…ばか!!」


珈琲でもいれてやろうかという意味で言ったのだが、何を聞き違えたのか布団を頭まで被ったそいつ。何がいけなかったんだろうか、なんて思いながら、とりあえずその布団のかたまりを抱きしめる事にする。


「あー…その、悪ぃ…」


まずはまあ…謝る事にする。二日酔いのせいで頭が回らないが、臨也の様子からすると悪いのは多分俺だ。
…覚えていない、という言葉もその通りだしな。
もそもそと布団から顔を出すそいつ。ジッと俺の顔を見て、ぷるぷると震えながら口を開いた。


「責任とって今夜も泊めてよね!!」


と叫んでから、再び布団に潜り込む。頭に響いたその言葉は、俺の脳内を悩ませるのには十分であった。


「(…か、風邪引いたから…だよな?)」


真実なんて、俺は知る由もない。
思考を巡らせ唸りながら、俺は再び目を閉じた。




――――――――――
沙希様のみお持ち帰り可能です!!

乳首開発ネタ…なのにこれシズちゃんが臨也ちゃんの乳首弄ってるだけっていう(爆)
エロというより微エロですみませんorz
次はもっとエロいのを目指します!!(笑)

リクありがとうございました!!