ミルクより甘い、ちょっとうっとうしいほど



『くるしいしあわせ』



「ねえアイスー!アイス買ってよー!」

「あっ、こら、勝手にカゴにいれんなばかめい!でもそんなお前も好き!」

「えへへ、まったくしょーがないなあ一也は」

「お前らいい加減にしろよ…」

とても大学生とは思えないようなちびっこと、そいつにベタベタな無駄イケメン。それプラスなぜか俺という異様なメンバーで、スーパーのアイスコーナーをうろうろしている日曜午後。
なんで俺がここにいるんだ。もはや隠す気などないんだろう、このバカップルは。

集まり好きなカルロスが声をかけ、無理やり予定を会わせることで実現したこの謎な面子でのお好み焼きパーティーin御幸&成宮家には、高校時代の稲実と青道の主要メンバーが勢揃いした。
1年前までが嘘のように冗談を言って笑い合って、意外と気が合う奴なんかも見つかったりして。わあわあと懐かしい話で盛り上がった。
そこまではよかったんだ、楽しかった。無理やり予定を合わせたかいがあったなとか思った。
でも成宮が急にいちごみるくが飲みたいとか言い出すから。

「今じゃなきゃやなの!ねえ誰か一緒にいこーよー!」

成宮のわがまま王子は健在で、何がなんでもいちごみるくが飲みたいのだという。
それに便乗して、他の奴らまでもがあれが食べたいこれが飲みたいと言い出した。

「じゃんけんだな。」

言ったのは御幸だった。
そして結果的に負けたのは、俺と言い出しっぺの御幸になったのだ。

「なあ、俺来なくても良くなかったか?」

「いや、俺たち二人きりにしたら色々危険だから倉持いねーと困るわ」

「なんだそりゃ」

ふざけんなと思ったが、確かに今でもすでに色々きわどいのに、俺がいなかったらもっとやばいことになってるんだろう。成宮は完全に俺無視だけど。

「かずやー!牛乳切らしてたよね?買うー?」

「あ、買う買う。鳴ちゃん偉いなあ」

「まあねー」

ほら、御幸までもが完全に俺を無視で日用品の買い出しとかしだしやがった。
帰りたい。非常に帰りたい。俺の存在意義を誰か教えてくれ。

「鳴、そのへんにしとけ。うち破産するぞ」

「はーい」

結局、シャンプーとか歯ブラシとか全く関係のないものまで買い込んで、大荷物で帰った。
成宮はアイスを片手に、大層ご機嫌でにこにこしている。

「さっさと帰るぞ。今すぐ帰るぞ。」

「なんだよ倉持、怒ってる?」

「別に怒ってないすけど全く」


ふん、お前らは買い出しもデートもできて満足かもしれないけどな、俺はイライラマックスなんだよ、ストレスで死にそうなんだよ。
早く帰りたい。早く帰ってすごく白州に会いたい。なぜか白州に。
もう少し、あと少しでマンションにつく。
頑張れ俺!行けるぞ俺!あと50メートルだ!

「あ、自販機。一也ぁ、コーラ飲みたーい」

「もー、鳴ちゃんったらしょうがねえなあ」

「お前らマジでいい加減にしろよ!」



二人でやってろ、バカップルども!!



『くるしいしあわせ』



散々災難くらもち。
みゆめいの間に挟まれる彼が好き。




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -