22:泣いてもいいよ 1 / 6


 揺れる、揺れる。
 通勤ラッシュから少し外れた時間になった途端座れるくらいには空いている電車に揺られながらぼうっと外を眺めた。

 空は私の気持ちなんて知ったこっちゃないと言わんばかりの快晴だった。


 駅の名前を繰り返し告げて、電車の扉が開く。


「はよ」


 声を掛けられて、視線をそちらに向けるといつもの弥生先輩がにっこり笑っていた。
 どうして、いるのだろうか。
 スカスカの電車内で無遠慮に会話を続ける。


「遅刻ですか、先輩」
「あぁ、寝坊したわ。つーか美幸もだろ」
「そうですね」


 立っていた先輩は私の右隣にどかりと座って息を深く吐き出した。
 何だろう、会話があまり続かないや。


「なぁ」


 弥生先輩の呼び掛けと同時に次の駅の名称が繰り返される。

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