20:ぼくのかのじょ。 11 / 11

「俺と付き合って?」


 優しく笑う登くんのその言葉に胸が高鳴る。
 変なの、変なの、こんな色気もない場所で。


「私、は」
「香月の彼女のふりが終わってからで、いいからさ」

 目を伏せて、登くんはゆっくりと起きあがる。
 登くんの上に倒れ込んでいた私も、流れるように起き上がることになった。

「『初めての彼氏』は香月に奪われちゃったけどさ、他の『初めて』、全部俺に頂戴?」

 にっこり、笑って。
 登くんは私を階段の方へと誘導した。


「ね、返事待ってるから」


 私の頭をくしゃりと撫でた登くんは階段を降りていく。
 私は頭に触れてみて、階段を上がっていった。

 どうすればいいんだろ。
 そもそも、香月くんの彼女って、いつ終わるんだろう。先輩が卒業するまで? 長くないだろうか。

 教室について、自分の机を漁れば少しよれたノートが出てきた。
 あった。

 視聴覚室に戻ろう。
 そう思って、扉の方へと振り返る。

「あれ……」
「星尾、ちょっと話あるんだけど」



 扉の前には、御小原くんが立っていた。




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