02:御伽噺とお弁当 3 / 8

「ご飯ないの?お弁当わけてあげようか?」

「いえ、申し訳ないです……」

「昨日連れがガン飛ばしたお詫びってことでさ」


あの、赤いパーカーのギターの先輩か。
いや、あれは私が悪かったんだけどな。


ぐぅ、とお腹が鳴って先輩はまた笑った。

ペットボトルを手にした先輩に手を引かれ、私は空き教室へと連れてこられた。



がら、とドアを開けると明るい声が飛んできた。


「こーめーちゃぁん!待ちくたびれましたぁぁあ!」
「弁当、弁当」


そこにいたのは、
昨日保健室で出会った2人だった。


「あ、弁当忘れたわ」

「こーめーちゃんボケてんの?」

「うるせぇ」


こーめーちゃん、と呼ばれた先輩は私を教室の方にやって手を離した。


「あれ、美幸ちゃんじゃん!」


楽しそうに笑った香月くんがぴょんと立ち上がって私の手を引っ張った。

「友達?弁当1人追加な。俺弁当取ってくるから」




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