15:シュガーレスキャンディ 10 / 10

 放課後、かけていく私はさながら犬のようだ。
 先ほどのテストを誇らしげに出して、彼の目の前に掲げる。


「平均以上、赤点なし! これまでの最高記録! どや!」
「……この点数でそこまで誇らしげにする星尾さんって幸せ者だね」

 憐れむような視線を向けられる。何故だ!
 周囲の人はテスト期間が終わった安心感からか、やれ遊びにいこうなどなんなどと賑わっている。

「ま、良かったね」
「登くんのお陰だよ! ありがとう!」
「はぁい、よくできました」

 にっこり笑った登くんが私の口の中に飴を突っ込む。

「ごほーび」

 ギターを背負い直して登くんは私の手を掴んだ。
 視聴覚室に行くでしょと言わんばかりに、引っ張られていく。

「登くん、これ……」
「ん、何だっけ、そうだ、いちごミルク味」


 そうじゃなくて、これ。
 すごくダイレクトな間接キスだと、思うのですが。

 きっとすごく甘いのだろう、いちごミルクなんて。
 でも、何故だか甘さがあまり感じられなかった。




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