14:チルドレンピアニズム 2 / 10

「普段は声楽部が使ってるんだよね。俺らは部活ってわけでもないし、一室借りられてるだけでもありがたいことだよ」


 にこり。椅子に座った魚住先輩が笑う。
 確かに、バンド活動をしている学生なんてフェアリーテイルの他にもたくさんいるわけで。そんな中使わせてもらえているのはすごいことなのかもしれない。
 まぁ、他の所も交代で使ってるんだろうけど。

 今はそんなことじゃなくて。


「最近よく聞こえるピアノって誰が弾いてるんですか?」


 あの綺麗な音を奏でているのは誰なのかということだ。
 きっと綺麗なお嬢様なのだろう。勝手なイメージ。先輩にそんな人いたかな、いたかもしれない。

 きょとんとした表情の魚住先輩が首を傾けた。


「弥生のじゃなくて?」
「え」
「今弾いてる人、なら、弥生だよ、って」



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