11:手を繋いで 3 / 8


 あくびを1つ漏らして登くんは立ち上がった。ギターケースを背負って保健室から出ようとする。

「のんちゃぁぁぁぁあん!!!!」

 大声で保健室に飛び込んできたその人に登くんが衝突した。

 綺麗な金髪が眩しく思える。


「いった……」
「案外入口すぐにいて俺びっくり」
「どうしたの香月」


 香月くんは思い出したように登くんの肩をがっちり掴んで揺らした。


「楽譜選びにいこうよー!」
「酔う、目が回る……っ」

 手加減のない香月くんの攻撃に登くんはぐったりしている。
 可哀想だ。


 すぐに解放された登くんが呆れたように香月くんを見た。


「……俺弥生と音合わせするから無理」
「酷いっ……私よりはにわちゃんを取るのねっ!」
「俺みたいな酷い男は忘れて、他のやつと幸せになりな……」




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