りんかいがっこー。3






自由時間が終わって夕方。

晩御飯の時間。



「『バイキングー!』」



なんということでしょう。

とっても広いお部屋に、豪華な食事がー……って、本当に豪華だよ!!


高級ステーキに、お寿司に、チョコレートフォンデュに。

たくさんのメニューが並んでいる。



御門くんと「何から食べようか」とキャアキャア騒いでいる。

気分は女子会、御門くんノってくれるんだもの。



美味しそうなものを皿に盛って席に戻るぞー!

うきうきしてると近くからクスクスとした笑い声が聞こえてきた。



「あれありえなくない?」
「どんだけ食べるんだよっていうねー」
「女子としてありえなーい」




……鹿央の子か

あー無視無視。



無視したことに腹が立ったのか、足を引っ掛けてきた。



……っ、転ぶ!



ガチャン!と皿がわれる音がした。

だけど、私は倒れなかった。



「馬鹿、ドジか」


蓮が、支えてくれた。



『……蓮、ごめん』

「片付けなくていい。怪我すんぞ」



スタッフの人たちが音を聞きつけて近づいてくる。

あぁぁ……申し訳ない。



私に足を引っ掛けてきた女の子たちはいつの間にかいなくなっていた。

……あぁもうわかってたけどさ、でもさ!
私が何をしたっていうんだー!





……なぁんて怒りも美味しい食事を食べたら吹き飛んじゃったりするんだよね。


いやぁ、本当おいしかった!



あれから取りに行くときは蓮がついてきてくれたから何かある心配なかったし。



デザートが絶品だった……高級料理店のケーキなんじゃないのあれ。
高級な店行ったことないからわかんないけどね!

でもあの未来くんが「まぁ、いいんじゃないですか」って肯定的な言葉をいったくらいだからね、きっといいところのやつだよ。







温泉に行きたかったけど鹿央の足かけたり溺れさせたりしてきた子と遭遇したら私の人生が終わってしまう。
……大げさに言い過ぎだけど。
そんなわけでで部屋についていたお風呂を使った。



さぁて、問題はここからだ。


……どうやって寝よう。




うん、おかしいでしょ一部屋って。
嫌がらせでしょ。




「なーに悩んでるんですか?」

『ぎゃぁぁああ!』



ちょっ、後ろから突然現れないでよ!



未来くんが馬鹿にしたように鼻で笑った。
もうヤダこの子。




後ろから抱きついてきて甘えるように私の肩に顎を乗せてきた未来くん。


少しだけ濡れた髪の毛が頬に触れて冷たい。




「ねぇ、妃代先輩」

『何……というか離して』


顔は見えないけど、ニコニコ笑っていそうだな……





「今日一緒に寝ましょ?」



手の力を強めて、くすくすと笑って。

爆弾投下、だよ。



『寝るわけないでしょ!?』

「えー別に変なことするわけじゃないですよ?変なこと考えたんですか?……それとも」



するり、と手が上へと移動してくる。

え、ちょ……



「妃代先輩って胸ちっちゃ……いっ!?」




鈍い音が、部屋に響いた。


「お前何やってんだ黒松おい」



『蓮ーっ!!未来くんがっ、未来くんがセクハラぁぁぁあ!!』

「黒松お前そこに正座しろシバく」


むむむむ、胸触られたよ!

ホント嫌だこの子!





蓮によって未来くんが引き剥がされたので、慌てて蓮の後ろに隠れる。

避難避難!




「つい気になって。やっぱり小さかったです!」


笑顔で人が傷つくことを言うなぁぁぁああ!




「お前なぁ……ぶっ!?」

蓮が奇声をあげた!?

上を見上げると顔から枕がズルズルと……


枕って……



「僕、枕投げしてみたかったんですよねー」


黒い笑顔で枕を構えている。



「俺ァ売られた喧嘩は買うぞてめぇ!」




うわぁぁああ!枕投げ始まったよ!


力強い枕が飛んできて私に命中した。
とても……痛いです。



枕投げっていうレベルじゃない、これもはや殴るってレベルだ。
枕殴りだ。



次々に枕が飛んでくる、私にも被害がやってくる。



枕何個あんの?






「あー疲れた……って、なにこれ」

『あ、会長ー何してたんですかー……』

「班長会議的なやつを……妃代どうして倒れてんの?なにこの地獄絵図」


枕なげ……違った、枕殴りの結果ですよね。



2人が未だに向かい合って投げ合っていて、何度もぶつけられた私は倒れた。
もういい。私立ちたくない、タチタクナイデス。



「おーい。妃代チャンが倒れてますよー何やってんですかー」


会長に抱き起こされた。

えーやだ立ったらまたぶつけられる……倒れててもたまにぶつかるけどね。



「あ!悪ぃ……!」



気付いて欲しかったよね、うん、気付いて欲しかった。


まぁ、

「枕投げですよ?妃代先輩はだらしないですねー」

気付いてて投げ続けるその子よりは全然いいけどね!





「つぅか眠い、寝る」

会長が興味なさそーに目を擦りながら布団へと向かって行った。




ぼふり、と準備されていた布団にダイブする。未来くんを蹴っ飛ばして。


わーい布団ふかふかー!



みんな頭を合わせるように並べられていた布団。

もういいよ。
なにかあったら蓮を盾にするから。



「もう寝るんですかー?」


「一応10時消灯なんですけどー?はいはい布団入れ」



さすがに生徒会長だから規則は守るんだね。




暗くなった部屋。

「うわ、久々に早く寝れる。幸せ」

『……お、お疲れ様です?』

「なんで疑問形なんですか」

「早く寝れる幸せとかおっさんか」

『おっさんじゃなくても喜ぶと思うよ?』



結局会話はするんだよねー。



ちなみに私は布団に潜ってがっちり布団を押さえてるので防御完璧だ!



しばらく会話したあとに1人また1人と寝て、静かになった。


私もすぐに眠気がやってきて意識が飛ぶ。








私の頭が優しく撫でられる。

「……ひめ」


懐かしい、響きで。




あれ、これ、夢?

目をつぶっていて姿が見えないよ。


妙にあったかい夢だなぁ……




『ふーちゃん……?』

「おやすみ、ひめ」



うん、おやすみ、ふーちゃん。

そんな風に心の中で呟いた。



最近やたらとふーちゃんが出てくる気がするな。

もしかして、再会できるっていう前兆?



……だったら、いいのになぁ。



あたたかさに包まれて、
私は再び深い眠りに落ちた。


 

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