ひっく。ひっく。
幼い少女の泣き声が響く。
真っ暗闇の世界で、白髪がやけに映えた。
戻ってこない。
彼女は戻ってこない。
僕のそばで、笑ってくれない。
僕を消してくれやしない。
助けてくれない。
誰も助けてくれない。
「クイーンは戻ってきてくれるクイーンは戻ってきてくれるクイーンは戻ってきてくれるクイーンは戻ってきてくれる」
暗示のように、少女は繰り返す。
「──クイーンは、戻って、こ、ない。戻ってこない戻ってこない戻ッテコナイなんで何でナンデ」
大粒の涙を少女は零した。
暗闇に、跡も残さずそれは消え去る。
「君が、戻ってこないなら、僕は、僕らは、そう、消えることもできなくて、」
赤髪の女性は目を伏せる。
少女の言葉を静かに聞いていた。
「ボクノイバショハドコニアルノ?」
白い少女は地に伏せてわんわん泣いた。
彼女にはもう、何もなかった。
大切なものも。
居場所も。
強がりも。
いいなぁ。
いいなぁアリスは。
大切なものを全部全部手に入れて。
「──繰り返すしかないんさ」
この少女が、大切なものを見つけることができるまで。
クイーンと同じくらいに、愛おしい存在を見つけることができるまで。
「世界を繰り返そうか、」
手を変え品を変えアリスを変えて。
何度でも、最悪なこのシナリオを。
自由自在の、シナリオを。
何度でも、いつまでも。
続けようか。
─何度モ夢ハ繰リ返ス─
〜nonstop loop world〜
Alice Game.blue
end...
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