チクタク、チクタク



時計は止まることなどない



少しずつ迫っている



ゲームの期限








兎の警告
〜Time limit〜























――声が聞こえた。





小さな、声が。







「アリス、アリス」





どこか聞き覚えのあるその声は、

笑うように私の名を呼ぶ。






「アリス!!」

「あー、もう!うるさい!!」






何度も何度も言われなくても聞こえてる!



目を覚ました場所は例によって白い世界。






もう、双葉はいなくなったのに……


白い世界は存在するのか。





白ウサギもいたしなぁー現にいるしなぁー……双葉のものではないのか。



真っ白な世界に白い少女。







また?



私の声でニコリと笑った彼女は大きく口を開く。



「アリス!!まだ気は変わってないの?」





気が変わる?……あぁ、クイーンを殺せとかいうやつ?



変わるわけないじゃん。




「そんなにやりたいなら自分でやって」

「余所者じゃない僕には出来ないよ?」




馬鹿にしたようにくすくすと白ウサギは笑う。





「おバカなおバカなアリスさん。僕がいいことを教えてあげようか?」



「何よ」




「チクタク、チクタク。時計は進む、時間は進んでいく。くすくす」





いや、意味わからないし。

日本語を喋っていただきたい。





「ゲーム終了まで、あと3日だよ?」



……あと、3日。

って



「3日!?」






ドア見つかる気配ないのに!!




私をみて白ウサギはくすりと笑う。






「終わんなかったら、女王様は飽きちゃうね、飽きちゃうねー」





あの人は飽きっぽいから。

――君は女王様に斬首されちゃう。





細められた赤い目がやけに怖く思えた。


相変わらずぴょこぴょこと跳ねる白ウサギ。





白いツインテールがゆらゆら揺れる。






「ね、ね。女王様を殺せば君は助かるよ、アリス」




「そんなことしなくても、ドアを見つければいいんでしょ!?」



「女王様を殺して水晶を奪えば君は幸せになれる!」



水晶、って……名前のやつ?



私は人を殺したりなんてしたくないから。

意地でも、ドアを見つけてやる!





「……あの女がいる限り、僕は取り戻せないよ」



小さい少女がぼそりと呟いた。





……どういうこと?


私の視線に気付いた白ウサギは強気な瞳でニコリと笑った。






「おバカなアリス、後悔しないようにね?」





そういって彼女が消えた。





「僕は消えられない、消えられない」



楽しそうで
悲しそうな



白ウサギの声が響く白い世界は
だんだんとフェードアウトしていった。



















「だから結局どういうことなのさぁぁあ!!!」






大声を発して突然部屋を出たもんだから。

ジャックとエースは驚いたようにこちらをみた。






「今日はやけに荒れてんなおめぇ……」

「びっくりしたー!アリスどうしたの?」


「白ウサギ意味わかんない!」

「いや、おめぇが一番意味わかんねぇ」





「息を整えなよ」とエースに落ち着かされて、私は深呼吸を一度だけした。




ジャックによって私の前にコーヒーが出される。






「……ゲーム、あと3日で終わるらしいよ」

「「は?」」






まじで?と言わんばかりに彼らは私に再び驚いたような視線を向けた。






「こんだけ探しても見つからないのにあと3日で探せってこと?」

「しかも、名前誰一つわかってねぇぞ?……全員で帰るとあんだけ豪語していたにもかかわらず。」





ちょ、私を責めるのやめて!?

ワタシワルクナイヨ!?




先ほど出されたコーヒーをすすりながらうんうんとうなっていた。





あと探してないところってどこさ?

結構いろんなところ行ったよね?なかったけど。





行ってないとしたら……


「帽子屋さんのところ?あと、ハートの城……」





ハートの城は最初ちょっと行ったくらいで詳しくは見てないし。





「あ?行ってないところか?」

「確かに行ってないね。そこらへん」



とりあえず、帽子屋さんにでも行ってみようかなぁ。


あの時はあまり深くは観察してなかったし。





そう、それに力になってくれるんだ。


あの人なら、なんか教えてくれるかも?


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