彼と会えない日


 初めて話したあの日から。
 彼が電車に乗ってくる日は、灰原さんと少し目が合うようになった。

 帰り、会った時に話しかけてくれるようになった。
 幸せだ、こんなに幸せで良いのだろうか。


「あのさー……逆さてるてる坊主作るのやめない?」
「え?」


 せっせと私が作っているのは逆さてるてる。
 真美が「呪いか」と呟いた。

 だ、だって。
 雨降らないと、彼に会えないから!!


「最近雨降るのあんたのせいじゃない……?」


 違う……と思う。
 逆さてるてるは、あくまでもおまじないだ。
 けして呪いなんかじゃない。

 今日は晴れ。
 彼には会えない日。


「はぁ……」
「なに、溜め息ついてるの。キモ」


 こ……この毒舌は。

「大輔!」
 私の弟、大輔。
 こいつ、青凛高校だったっけ。


「あんた、部活は?」


 野球部で絶賛青春中だ。


「今日は休み。この時期になると高体連でいろんな部活がグラウンド争奪戦をやるからね」

 今日は他の部活が使ってるんだ、と適当に言葉を発しながら私の横を歩く。
 なんで隣を歩くんだ、と聞けば、どうせ帰る場所同じじゃん、と返される。

 ……まぁ、そうだけどさ。
 弟と帰るっていうのもなぁ……

 雨が降らない日は、彼と会えない日。
 早く、雨降らないかなぁ……






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