契約屋3

「ごめんねぇ、許してぇ、ごめんねぇ」






忍は何度も何度も京子に謝罪を繰り返した。



契約屋と名乗る少年が、クリーム色の髪を揺らしてにこにこ笑う。






「お姉さん、ありがとう」



――約束だ。





「お姉さんは僕の願いを叶えてくれた」

何かを掴むかのような手の動きを見せて、少年は忍を見た。





「だから今度は、僕がお姉さんの願いを叶えてあげるね」






忍が持っていた紙に、印が押された。





―契約成立―
と。









「お姉さんの大好きなお兄さんは、明日には何事もなかったかのように学校に来るよ」





少年が笑う。



笑って、別れを告げてゆっくりと姿を消したのだ。







忍が最後に聞いたのは、もう2度と聞きたくないと思えるほどの残酷な声、言葉。










「大丈夫、日暮京子のことは、明日にはみぃんな忘れてしまうから。もちろん、お姉さんもね」







京子を忘れることが、果たして。

忍にとって幸せなことなのか、不幸なことなのか。





彼女自身にも


わからなかった、
考えられなかった、

……考えたく、なかった。






「日暮京子は
親友も、恋人も
大切に想う綺麗なココロを
持っていたから」






――だからきっと







おいしいんじゃないかな?













望めば望むほど


欲すれば欲するほど


きっと



俺は

私は

僕は


あなたは




後悔をする







「ねぇ、そこの人





僕と契約しませんか?」




-fin-




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