「あれっ、今日は相川先輩いないんですか?」
「今日は仕事だって言ってたけど」

 高飛びに今日は目を惹く人物が見当たらなかった。
 仕事……あぁ、雑誌のモデルさん?

 天音ちゃんに借りた雑誌にいた相川先輩は、なにやらクールキャラでした。
 ……優男、クール、性格に問題あり。多彩な方ですね、性格。

 使い分けることは大事なのかもしれないけどさ。


「桐谷さん、尚志に何か用があったの?」
「あっいえ……あるわけでは、ないんですけど」
「あいつ、部活に来ることあんましないよ。モデル忙しいらしいし」


 枢木部長が苦笑する……じゃあ初日いたのって本当にレアだったのか。


 本当の先輩……高飛びをしている綺麗な相川先輩を見れると思ったのに。
 ……残念。


「尚志目当てで部活入った子は残念だろうねー去年もいたけれど」
「……私は別にそういう不純な動機で入ったわけでは」

 ない、とは言い切れないか。
 他の女の子とは別の「格好いい」に惹かれて入ったのだから、否定できない。


 枢木部長は笑って他の子達に話しかけにいった。


 部員の様子を確かめているのか、枢木部長はさっきみたいに各部員の前に現れてはちょっとだけ会話をしてどこかへと行く。
 それを毎回、何度か行っている。
 体調が悪そうな様子を見せればすぐさま木陰へと連れて行かれて休みをとれと促される。


 ……部長にぴったりだよなぁ。ちゃんと気を配っている。
 ああいう人がモテるべきだ。




 部活が終わる。
 学校の校門をくぐってバス停までの道を歩き始める。

 着替えるの面倒くさいから、ジャージのままの帰宅です。
 バスでバス停5個、高校まではそうそう遠くはない距離だ。
 家に着いて荷物を下ろした。


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