「さっき、適当にノアがはぐらかしたあれね、本当は」 「あれ?」 「ノアの食べ物。私の罪悪感を食べてんの、あいつ」 マツバの言葉にリオは首を傾けた。 マツバは自嘲気味に笑って、まぶたを下ろす。 「あいつが忌み子になったの、私のせいだから」 声のした方へとノアは走った。 嫌になりそうなくらくらする血の臭いが濃くなる。 「なん、だよ……これ」 目の当たりにしたのは大量の狼の死体。 会ったこともなかった人狼たちであろう。 暗いからか見えないためサングラスを外して周りを見渡した。 誰がやったんだ、こんなの。 後ろから木の葉を踏む音が聞こえて視線を即座に動かす。 ごつ。 頭にぶつかったのは、狩猟用であろう銃の銃口。 反射的にノアは頭の位置を低くして銃弾を避ける。 銃を向けてきた男を睨んで声をアホみたいに荒らげた。 「まだ生き残りがいたか」 「おい!初対面の人間になにしてんのあんたは!」 「人間?人狼だろお前は」 男は赤い赤いノアの瞳を睨む。 「さっきの遠吠えでのこのこ現れたのか」 「勘弁してよ狩人とか……」 ノアは男の銃を見ながら頭を押さえた。 「俺は戦う意思なんてな──いっ!?」 ← → back |